「国の借金」、3年9ヵ月ぶり減少の1104.9兆円だが

財務省がこのほど公表した、2019年9月末時点での国債や借入金などを合計した「国の借金」は、前年度末(2019年3月末)からは1兆5743億円増えて1104兆9286億円となったが、過去最大だった本年6月末からは▲5067億円減少し、3ヵ月ごとの推移では2015年12月以来、3年9ヵ月ぶりに減少した。ただしこれは、過去に発行した国債の償還がこの時期に集中したための一時的な現象で、今後は再び増加に転じる見通し。

2019年6月末に比べ、国債は約1.7兆円増の約982.6兆円で全体の約89%を占め、うち普通国債(建設国債+赤字国債)は、6973億円増の約880兆円(うち復興債が約5.4兆円)と過去最高を更新。その内訳は、長期国債(10年以上)は約5.7兆円増加して過去最大の約689.3兆円となったものの、中期国債(2年から5年)が▲約4.6兆円減の約167.4兆円、短期国債(1年以下)が▲約0.4兆円の約23.2兆円となり、全体の減少に寄与した。

この「国の借金」1104兆9286億円は、2019年度一般会計提出予算の歳出総額99兆4291億円の約11.1倍、同年度税収見込み額62兆4950億円の約17.7倍である。年収500万円のサラリーマンが8850万円の借金を抱えている勘定だ。また、わが国の今年10月1日時点での推計人口1億2614万人(総務省統計、概算値)で割ると、国民1人当たりの借金は、2019年3月末時点の約874万円から約876万円に微増している。

わが国の公債残高(普通国債残高)は年々増加の一途を辿っているが、2019年9月末実績の公債残高は、2019年度末見込み(当初予算ベース)の約896.7兆円から約879.9兆円程度にとどまった。しかしこれは、2019年度一般会計税収予算額約62兆円の約14年分に相当し、将来世代に大きな負担を残すことになる。また、この9月末実績での公債残高の約880兆円は、国民1人当たり約698万円、4人家族で約2792万円となる。

2019年9月末現在の国債及び借入金等の現在高は↓
https://www.mof.go.jp/jgbs/reference/gbb/201909.html