関税等脱税、金地金の処分件数・脱税額は依然高水準

財務省がこのほど公表した「2018事務年度(2018年7月~2019年6月)において全国の税関が行った輸入品に対する関税及び内国消費税に係る犯則事件の調査」によると、同事務年度に全国の税関が行った犯則調査の結果、処分(検察官への告発又は税関長による通告処分)した件数は536件(前事務年度841件)となった。内訳は、通告が524件(前事務年度808件)、告発が12件(同33件)だった。

また、処分した事件に係る脱税額は、総額で約10億5823万円(前事務年度比▲39%)だった。内訳は、関税が984万円(同▲91%)と大幅に減少し、内国消費税が10億4840万円(同▲35%)となっている。告発件数は12件(同▲64%)だったが、告発分に係る脱税額は、関税は0円だったものの、内国消費税が4億147万円(同11%増)と増加し、合計4億147万円(同▲14%)だった。

処分した事件のうち、金地金の密輸事件が404件と全体の約75%を占め、その脱税額は総額で約9億6004万円と、過去最高を記録した前事務年度に次ぐ2番目の高水準だった。2018事務年度の金地金摘発件数は大幅に減少しているものの、処分件数には2017事務年度以前に摘発した事件の処分結果も含まれるため、依然として高水準になった。金地金の総重量は約2.6トンに相当し、課税価格の総額は約120億円にのぼる。

金地金の密輸形態別の処分件数では、約96%(386件)が航空機旅客による密輸となっている。航空機旅客による金密輸事犯の隠匿手口は、体に巻き付けるなどして隠匿しているものが49%と約半数を占めた。また、着用したかつらに隠匿したもの、ポケット付き半袖シャツに収納しシリコンマットを被せて隠匿したもの、手荷物運搬用のカートに工作隠匿したものなど、巧妙な隠匿手口も見受けられたという。

なお、2018年度税制改正において、金の密輸入の増加に対応するため、消費税法を改正し、輸入に係る消費税の脱税に係る罰金額(ペナルティ)の上限を、改正前の脱税額から、脱税額の10倍が1000万円を超える場合には、脱税額の10倍に引き上げている。上記の金地金密輸事件の処分件数404件のうち、昨年4月の関税法改正(罰則の大幅強化)後の罰則適用事件の処分件数は、告発3件、通告71件となる。

この件については↓
https://www.mof.go.jp/customs_tariff/trade/collection/ka20191106a.htm