2016-10-11
ゴルフ場利用税について、文部科学省は2013年から昨年まで連続して廃止を要望している。ゴルフは今年112年ぶりにリオデジャネイロ五輪で復活し、東京大会でも実施が決まっていることから、同省は幅広くゴルフの振興を図り、国民が身近に親しむ環境を整備する上で重要だとして、来年度改正に向けてもすでに5年連続となる廃止要望を提出。ゴルフ競技団体や関係業界等を含め、同税廃止に向けた動きを強めている。
ゴルフ場利用税の前身は、1940年に国税として導入された入場税だが、その後、1954年にパチンコ店やマージャン店などとともに「娯楽施設利用税」という地方税となった。さらに1989年の消費税創設に際して、国税の入場税は廃止され、娯楽施設利用税も、パチンコ・麻雀・射的場などの利用に係るものは廃止されたが、ゴルフ場の利用行為に対してだけは「ゴルフ場利用税」と名称変更して存続した。
国体競技選手、年齢18歳未満の者や70歳以上の高齢者、障害者などは非課税だが、その他の利用者には一人1日当たりの施設利用に対して800円(標準税率)から1200円(制限税率)で課税されている。こうしたことから、関係者は、スポーツの中でゴルフだけが消費税と施設利用税との二重課税で公平性を欠いているなどとして廃止を主張。加えて、ゴルフがオリンピックの正式な競技種目になったことも追い風と捉えている。
税制改正要望の背景には、ゴルフ人口の減少がある。1993年に約1480万人だったゴルフ場利用者は2014年には約720万人と半減。この間、利用単価も大きく減少しており、業界には少しでも負担を減らしてゴルフ場に客を呼び戻したい事情がある。一方、課税側の都道府県と交付金を受ける市町村は廃止絶対反対で一致。ゴルフ場の開発許可や周辺の道路整備にかかる行政サービスを賄う費用として欠かせないという立場だ。
総務省も地方の貴重な財源だとして自治体を後押ししている。ゴルフ場利用税の税収は年間約500億円、うち7割がゴルフ場のある市町村に交付され、財政状況がひっ迫している地方財政にとっては貴重な財源となっている。東京オリンピックのゴルフ競技実施を契機に人気回復、底辺拡大を狙う業界側の廃止要望と、財源を死守したい自治体の攻防は今年も続きそうだ。