2019-11-22
国税庁では、虚偽の申告により不正に消費税の還付金を得るケースが見受けられることから、こうした不正還付等を行っていると認められる法人については、的確に選定し、厳正な調査を実施している。2018事務年度においては、消費税還付申告法人のうち、6553件(前年対比▲2.5%)に対し実地調査を実施し、消費税175億円(同▲32.1%)を追徴課税したことが明らかになっている。
また、そのうち829件(前年対比5.3%増)は不正に還付金額の水増しなどを行っており、その不正計算に係る追徴税額47億円(同▲19.6%)を課している。このように、消費税還付申告法人に対する実地調査件数の全体は減少しているものの、大口・悪質な不正計算が想定される法人に対して的確に調査を実施した結果、年度による増減はあるものの、ここ数年間の追徴税額は増加傾向となっている。
消費税不正還付事案については、東京国税局が、外国人旅行者等のパスポートの写しを悪用して、課税仕入れと免税売上をいずれも架空計上していた法人の調査結果を報告している。調査法人は、輸出物品販売場の許可を受け、外国人旅行者に対し高級腕時計の免税販売を行う法人だった。この法人から多額の消費税の還付申告書が提出されたことから、その実態を確認するため行政指導を実施したところ、取引実態に不審な点が認められた。
そこで、実地調査に移行した結果、調査法人は、消費税の還付金を不正に受領するため、架空の課税仕入れを計上するとともに、自社と全く関係のない外国人旅行者等のパスポートの写しを利用して、店頭で外国人旅行者に販売したかのように装い、架空の免税売上を計上している事実が判明した。調査法人に対しては、消費税(1年)の重加算税を含む追徴税額3100万円が課されている。