2016-10-19
海外旅行者が日本の国際空港への到着時にも、免税店で買物できる日が近いかもしれない…。これは、国土交通省が2017年度税制改正要望において、「本邦国際空港の到着時に購入する商品についても携帯品免税の対象に含まれるよう措置する」とする要望を盛り込んだもので、一部で期待が高まっている。携帯品免税とは、海外旅行の携帯品又は別送品のうち、個人的に使用すると認められるものに限り、一定の範囲で免税とするもの。
今回国土交通省が要望したこの施策目的は、従来、外国の空港等で購入していた免税品について、日本の国際空港の到着時にも購入きるよう措置することで、利便向上と経済活性化を狙っている。現在は海外空港や海外市中免税店で購入されている商品が、我が国の空港内免税店で購入されることにより、その経済効果を外国から国内に取り込み、日本経済の活性化を図っていく。
また、海外旅行に行くときなど、出国エリアの免税店で買物する人は少なくないが、その場合、行きに買物をすると旅行の間ずっと商品を持ち歩かなければならないという煩わしさがついて回る。外国の空港で時間がなくて免税店での買物ができなかったというケースも多々あるが、日本到着時の入国エリアに免税店ができれば、これらの問題は解消する。つまり、航空旅客の利便性の向上を図ることができる。
到着時の免税店については、2013年度税制改正でも「本邦国際空港における到着時の免税品の購入・受取制度の創設」を要望して不採用となった経緯がある。しかし今回は、安倍内閣が掲げる「日本再興戦略2016」(2016年6月2日閣議決定)や「観光ビジョン実現プログラム2016」など、国の政策がバックについている。両政策においても、到着時免税制度について研究・検討を行うことが明記されている。
2020年の東京オリンピックに向けて「観光先進国ニッポンへ」の機運が高まるなか、こうした国の政策と慎重に歩調を併せつつ、制度名を「携帯品免税制度の見直し」に変更して、装いも新たに2017年度税制改正要望に盛り込まれたわけだ。今秋から2017年度税制改正に向けた論議が本格化するが、果たして今回は実現に至るのか、今後の議論の行方に注目が集まるところだ。