国外居住親族に係る扶養控除の適用を受けるためには

経済の国際化のなか、仕事の都合で家族を国外に残して日本で会社勤めをしている外国籍の人が増えているが、この場合、日本での所得に対して国外に住む家族の分の扶養控除等の適用を受けることができるのだろうか。結論としては、その家族が国内に住んでいても国外に住んでいても、また外国籍であっても、扶養親族に該当するのであれば扶養控除等の適用を受けることはできる。

ただし、外国籍の人に限らず日本人でも子供等その家族が国外に1年以上継続して住んでいて、その国外居住親族について扶養控除等の適用を受ける場合は、国外居住親族に係る一定の書類を会社等の源泉徴収義務者に提出する必要がある。一定の書類とは、日本国内にいる人(居住者)と親族であることを示す親族関係書類と、居住者が実際に送金して扶養していることを示す送金関係書類だ。

まず、親族関係書類ついては、戸籍の附票の写しその他の国又は地方公共団体が発行した書類及び国外居住親族の旅券(パスポート)の写しか、外国政府又は外国の地方公共団体が発行した書類(国外居住親族の氏名、生年月日及び住所又は居所の記載があるものに限る)のいずれかの書類となる。これらは国外居住親族の旅券の写しを除き原本の提出又は提示が必要となる。

つまり、戸籍謄本などを用意すればいいのだが、海外では戸籍制度はほとんどなく戸籍謄本も存在しない。したがって、戸籍謄本がない外国籍の人は、主に婚姻証明書や出生証明書を提示して配偶者であることや親子関係であることを証明する。また配偶者の親について扶養控除を受ける場合などは配偶者との婚姻証明書と、配偶者とその親の親子関係を証明する出生証明書等の両方の提示が必要になるなど、証明書を組み合わせる必要がある。

次に、送金関係書類は、金融機関の書類又はその写しで、その金融機関が行う為替取引により居住者から国外居住親族に支払いをしたことを明らかにする書類や、クレジットカード発行会社の書類又はその写しで、国外居住親族がそのクレジットカード発行会社が交付したカードを提示して商品等を購入したこと等により、その商品等の購入等の代金相当額の金銭をその居住者から受領した、又は受領することとなることを明らかにする書類だ。

具体的には外国送金依頼書の控えや居住者が契約し国外居住親族が使用するために発行したクレジットカードで、その利用代金を居住者が支払うこととしているものに係る利用明細書などだ。ただ、送金関係書類は扶養控除等を適用する国外居住親族の各人ごとに必要となるので、国外に居住する配偶者と子供がいた場合に、配偶者に対してまとめて送金している場合は、配偶者のみに対する送金関係書類として取り扱われるため注意が必要だ。