5G設備に係る投資に税額控除等を認める税制の創設

「5G」とは第五世代移動通信システムの略称で、携帯電話などの通信に用いられる次世代通信規格のひとつ。5Gは、スマート工場や自動運転等の産業用途のほか、遠隔医療や防災等、地域社会の問題解決にもつながる、次世代の基幹インフラであり、サイバーセキュリティなど、安全性・信頼性等の確保が極めて重要になる。そこで、2020年度税制改正では、5G設備に係る投資について、税額控除又は特別償却を認める税制を創設する。

対象法人は、特定高度情報通信等システムの普及の促進に関する法律(仮称)を前提に、一定のシステム導入を行う同法の認定特定高度情報通信等システム導入事業者(仮称)に該当する青色申告法人。その法人が同法の施行日から2022年3月31日までの間に、特定高度情報通信用認定等設備を取得して、国内にある事業の用に供した場合、その取得価額につき、30%の特別償却と15%の税額控除との選択適用を認める(法人税額の20%が上限)。

上記の「一定のシステム導入」とは、特定高度情報通信等システムの普及の促進に関する法律(仮称)の認定導入計画に従って実施される同法の特定高度情報通信等システム(仮称)の導入で、その早期の普及を促すものであってその供給の安定性の確保に特に資するものとして基準に適合することについて、主務大臣の確認を受けたものをいう。つまり、計画認定に基づく対象設備の導入について、税額控除等の課税の特例が適用されるわけだ。

また、上記の「特定高度情報通信用認定等設備」とは、その法人の認定導入計画に記載された機械その他の減価償却資産で、一定のシステム導入の用に供するための一定のものをいう。例えば、全国5G事業者が整備する送受信設備や空中線(アンテナ)などの基地局の前倒し整備分や、全国5G事業者が整備する送受信設備や通信モジュール、コア設備、光ファイバーなどの5G設備が該当する。

5Gは、(1)超高速・大容量、(2)超低遅延、(3)多数同時接続という特徴を有し、幅広い産業においてその活用可能性の広がりが期待され、特に、地方での5Gインフラの早期構築は、産業のスマート化等、地域の社会問題解決につながり、今後の地方創生の原動力となると期待される。一方で、5Gでは、産業用途での利用拡大で、サイバー攻撃が事故に直結することから、5Gインフラ構築に当たっては、安全・安心なシステム構築が極めて重要となる。