定期借地権保証金の適正利率は過去最低の0.01%

定期借地権は、1992年8月に施行された新借地借家法に基づいて、当初の契約期間で借地契約が終了し、その後更新がない制度。そのメリットは、貸主側は契約期間が終了すれば確実に土地が返ってくることや立退き料が要らないことなどだ。借主側も、土地代の20~30%程度の保証金を預けるだけで済むため、資金計画にゆとりができることや、保証金も契約完了後には全額返還されるなどメリットは多い。

ところで、この定期借地権の設定に伴い貸主が預かった保証金を個人的に使ってしまった場合などは、貸主に経済的利益が生じたことから課税対象となる。その際の課税対象額は、税務当局が毎年定める「適正利率」によって計算され、保証金を返還するまでの各年分の不動産所得の収入金額に算入することになっている。国税庁は毎年、国土交通省の照会に対する回答として、適正利率を公表している。

国税庁はこのほど、その適正利率が、2019年分は過去最低を記録した前年分と同様の0.01%となることを明らかにした。この「適正利率」は、2019年中の定期預金の平均年利率(預入期間10年・1千万円以上)によることとし、2019年分については「0.01%」としたもの。この取扱いは、1993年分の不動産所得の申告から始まっているが、同年分は4%。それからずいぶん低下したものだ。

この結果、保証金を事業用資金や事業用資産の取得資金として使う場合に、各年分の不動産所得の収入金額と必要経費に算入する利息相当額を算出する「適正利率」は、平均的な長期借入利率によるべきだが、0.01%としても差し支えない。また、個人的に自宅や車などの購入費用として充てた場合は、適正利率で算定した利息相当額を、返還するまでの各年分の不動産所得の収入金額に算入するが、2019年分のその適正利率は0.01%となる。

なお、保証金を事業用資金や事業用資産の取得などのために運用した場合は、「適正利率」によって計算した利息分を、収入金額と必要経費の両方に算入することになるため、実質的には差し引きゼロとなる。また、保証金を預貯金や公社債、貸付信託などの金融資産で運用している場合は、すでに源泉分離課税で処理されており、経済的利益の所得金額の計算は要らないので課税関係は生じない。