2020-03-09
国税庁はこのほど、「令和元年台風第19号に係る調整率表」を公表した。令和元年台風第19号による災害は特定非常災害に指定されており、「特定土地等及び特定株式等に係る相続税・贈与税の課税価格の計算の特例」の適用対象とされている。調整率とは、災害に関する資産税関係の救済措置として、被害を受けた特定地域内にある土地等について災害による時価の下落を反映させるもの。
これにより、2019年10月10日(特定非常災害発生日)において所有していた一定の土地等の価額は、その取得時の時価によらず、「特定非常災害の発生直後の価額」によることができる。今回公表された調整率は、この「特定非常災害の発生直後の価額」を求めるための控除割合のこと。災害に関する資産税関係の救済措置として2017年度税制改正で創設されたものだ。
国税庁が公表した調整率は、特定地域の都道県別に検索できる仕組みで、大規模工場用地やゴルフ場用地の調整率等についても検索方法を説明している。特定非常災害の発生直後の価額の計算式は「路線価(2019年1月1日時点)×調整率」で、例えば、2019年分の路線価が10万円ならば調整率0.80(仮の数値)を掛けて8万円となる。また、特定土地等が倍率地域にある場合には「評価倍率(2019年1月1日時点)×調整率」となる。
令和元年台風第19号に係る調整率が適用できるのは、(1)2019年10月10日以後に相続税の申告期限が到来する人が2019年10月9日以前に相続等により取得、(2)2019年10月10日から2019年12月31日までの間に相続等により取得、(3)2019年1月1日から2019年10月9日までの間に贈与により取得、(4)2019年10月10日から2019年12月31日までの間に贈与により取得した、特定地域内にある土地等となる。
2019年分の贈与税の申告書の受付は2月3日から始まっているが、国税庁では、特定土地等については「調整率」を確認した上で評価額を計算し、贈与税の申告書を作成・提出するよう呼びかけている。なお、贈与税の申告期限・納付期限については、新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、申告所得税(及び復興特別所得税)及び個人事業者の消費税(及び地方消費税)とともに、2020年4月16日(木)まで延長されている。
令和元年台風19号に係る調整率表は↓
http://www.rosenka.nta.go.jp/main_r01/chousei/city_frm.htm