国外居住親族の扶養控除対象親族の年齢要件を見直し

配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除、障害者控除の対象となる親族は、居住者に限定されていない。したがって、親族が非居住者であっても、一定要件を満たせば扶養控除等の適用を受けることができる。2020年度税制改正では、国外居住親族の扶養控除の適用対象となる親族の年齢要件を見直し、年齢30歳以上70歳未満の者については一定要件に該当しない限り扶養控除の適用対象から除外する。

現行所得税法では、控除対象扶養親族を、国内外問わず「扶養親族のうち年齢16歳以上の者」と定義しているが、その年齢に関する要件を見直し、その年の12月31日時点の年齢が「16歳以上29歳以下、70歳以上の者」とされる。それとともに、新たに居住者、非居住者の区別を設け、居住者とは国内に住所があるか現在まで引き続き1年以上居所のある個人で、居住者以外の個人が非居住者とされる。

上記のように、適用要件のうち年齢に関する要件を見直し、非居住者が年齢30歳以上70歳未満の者の場合は、(1)留学により非居住者となった者、(2)障害者、(3)居住者から生活費又は教育費に充てるための支払を38万円以上受けている者、のいずれにも該当しない者は適用対象から除外する。年齢16歳以上30歳未満と年齢70歳以上は従来通り適用対象となる。居住者についての変更はない。

年齢30歳以上70歳未満の非居住者(障害者以外)を扶養控除の適用対象とするときは、要件に該当することを証明する書類が必要となる。留学の証明は外国政府等が発行した留学による在留者を証明する書類を、居住者からの支払額の証明は現行の送金関係書類で送金額等が38万円以上であることを明らかにする書類を、それぞれ給与等又は公的年金等の源泉徴収や給与等の年末調整、確定申告の際に提出等しなければならない。

適用要件のうち年齢に関する要件が見直される背景には、非居住者である親族に係る扶養控除の適用については、所得要件の判定において国内源泉所得が用いられているため、国外で一定以上の所得を稼得している親族でも控除の対象とされているとの指摘があった。この改正は、2023年1月1日以後に支払われる給与等及び公的年金等並びに2023年分以後の所得税について適用される。