個人事業主も必要となる源泉徴収事務のポイント

人手不足のなか、アルバイトやパートを雇用している飲食店や小売店も多いと思われるが、個人事業主も、給与や報酬の支払いについて源泉徴収をする必要がある。源泉徴収が必要となる支払いは、支払先が個人の場合、社員やアルバイト、パートへの給与や賞与、税理士や会計士、社労士への報酬がある。退職金や年金といったものも源泉徴収の対象となる。支払先が法人の場合は、利子や配当が源泉徴収の対象となる。

支払者が源泉徴収をしなくてもよいケースもあるが、基本的に社員やパート、アルバイトへ給与を支払っている場合は源泉徴収が必要となる。源泉徴収額の計算方法は、給与の場合、給与所得の源泉徴収税額表を用いて源泉徴収額を算出することができる。総支給額から社会保険料の控除を行い、給与所得者の扶養家族を考慮した上で給与所得の源泉徴収税額表に数字を当てはめることで、源泉徴収額を計算することができる。

報酬の場合の源泉徴収額は、支払金額に税率を掛けあわせて算出する。支払金額が100万円以下の場合と100万円を超える場合で税率が異なる。支払金額が100万円以下の場合の源泉徴収税額は、「支払金額 × 10.21%」の計算式で求める。支払金額が100万円を超える場合の源泉徴収税額 は、「(支払金額 - 100万円)× 20.42% + 102,100円」の計算式で求めることができる。

また、源泉徴収額を求める際に、消費税の扱いには注意が必要だ。源泉徴収額を計算する際は、基本的に消費税分も含めた金額を元に計算を行うが、請求書上で、報酬金額と消費税額が明確に分けられている場合に限り、消費税抜きの報酬金額を源泉徴収の対象とすることができる。上記の方法によって計算した源泉徴収額を給与支払いの際に徴収しておき、定められた納付時期と納付方法に従って税務署へ納付を行う。

源泉徴収額の納付期限は、原則、源泉徴収を行った月の翌月10日までだが、給与の支払対象者が9人以下の場合は、源泉徴収義務者が「源泉所得税の納期の特例」を申請することで、毎月必要だった納付を半年に1回にまとめることができる。この特例により、1月~6月までの所得税は7月10日まで、7月~12月までの所得税は翌年の1月20日まで納付期限を延長することができるので、ぜひお勧めしたい。