中小企業の事業承継促進のため経営者保証を不要に

中小企業の事業承継促進のため、経営者個人の保証を不要とする信用保証制度の創設などを盛り込んだ「中小企業成長促進法案」が国会で審議中だ。近年、高齢化により多くの中小企業経営者の引退期が迫るなか、後継者候補が現経営者の経営者保証の存在を理由に承継を拒否するなど、経営者保証が事業承継の支障となる事態が生じている。そこで、中小企業による事業承継の円滑化を図るため、経営者保証の解除に係る支援等を講ずる。

ここ数年、事業承継を促進するため法人向け事業承継税制の拡充や個人向け事業承継税制の創設により、相続税・贈与税の負担ゼロという税制上の優遇措置を設けてきており、事業承継の際の問題として残ったのが融資を受ける要件である経営者の個人保証の存在だ。2017年度の中小機構アンケートによると、事業承継を拒否する後継者候補の拒否理由の6割が個人保証の存在だった。

政府も昨年6月に閣議決定した骨太の方針で、後継者の保証を不要とする信用保証制度の創設を明記していた。法案では、経営者交代による事業承継に併せて保証債務を借り換える際の資金に対して、経営者保証を求めない保証制度(経営承継借換関連保証)を信用保証協会の保証に追加(既存の保証限度枠とは別に、特例として2.8億円を保証)する。保証には、経営承継円滑化法に基づく経済産業大臣の認定が必要となる。

中小企業成長促進法案は、経営承継円滑化法の改正をはじめ、事業承継等に伴う事業拡大により、中小企業者要件を満たさなくなった事業者に対し、一定期間中は中小企業者とみなして中小企業向け支援(法律上の特例)を継続する地域経済牽引事業計画の支援強化など地域未来法の改正や、経営強化法等の改正をまとめたもの。一部を除き法律の公布から半年以内に政令で定める日から施行する。