2020年の公示地価は5年連続の上昇、路線価へ影響も

国土交通省がこのほど公表した2020年1月1日時点の地価公示によると、商業・工業・住宅の全用途(全国)で1.4%のプラス(前年1.2%上昇)と5年連続で上昇したことが分かった。住宅地は0.8%(同0.6%)、商業地は3.1%(同2.8%)上昇。地方圏の地方四市(札幌・仙台・広島・福岡)以外のその他地域でも、全用途平均・商業地が1992年以来28年ぶりに上昇に転じ、全国的に地価の回復傾向が広がっている。

地方圏は、住宅地が前年比0.5%上昇(前年0.2%上昇)で2年連続の上昇。商業地(1.5%上昇)・工業地(1.1%上昇)は3年連続の上昇となり、上昇基調を強めている。地方圏のうち、地方四市では5.9%上昇と7年連続の上昇となり、上昇幅も6年連続で拡大。地方四市を除くその他の地域においても、全用途平均・商業地が28年ぶりに上昇に転じ、住宅地は0.0%と1996年から続いた下落から横ばいとなった。

国土交通省では、地価上昇の背景として、景気回復、雇用・所得環境の改善、低金利環境の下で、(1)交通利便性等に優れた地域を中心に住宅需要が堅調、(2)オフィス市場の活況、観光客増加による店舗・ホテル需要の高まりや再開発等の進展を背景に需要が堅調であること、を挙げた。住宅地については、低金利環境の継続や住宅取得支援施策等による需要の下支え効果もあって、交通利便性や住環境の優れた地域を中心に需要が堅調としている。

商業地についても、全国平均の上昇率が3.1%と5年連続の上昇。要因として、景気回復、良好な資金調達環境の下、(1)人材確保等を目的に、オフィスビル需要が堅調で空室率の低下・賃料の上昇傾向が継続、(2)外国人観光客を始め国内外の訪問客の増加により収益性向上が見込まれる地域での店舗、ホテル等の進出、(3)交通インフラの整備や再開発の進展に伴う利便性や繁華性(賑わい)の向上などを背景に需要が堅調なことを挙げている。

なお、全国の最高額は東京都中央区銀座4の「山野楽器銀座本店」で、1平方メートル当たり5770万円で前年と比べて0.9%上昇した。ところで、毎年7月には国税庁から相続税・贈与税を計算するときの土地の評価額である路線価が公表されるが、地価公示価格は、売買実例価額や不動産鑑定士等による鑑定評価額等とともに、路線価を算定する際の基となる。地価公示価格の上昇が今夏公表される2020年分路線価に影響を及ぼすことが予想される。

この件については↓
https://www.mlit.go.jp/report/press/totikensangyo04_hh_000168.html