税務職員等の定年60歳を65歳に段階的に引上げ

政府は、税務職員や警察官、自衛官など国家公務員の定年(現行60歳)を2022年度から2年ごとに1歳ずつ引き上げ2030年度に65歳にする。今国会に提出されている国家公務員法等一部改正法案では、この定年の段階的引上げとともに、定年延長が組織の新陳代謝を鈍らせないよう、管理監督職員に対し60歳(事務次官等は62歳)以後は原則、管理監督職以外の官職に異動させる「役職定年制」を導入する。施行は2022年4月1日。

60歳に達した職員の給与は、当分の間、職員が60歳に達した日後の最初の4月1日以後、その者に適用される俸給表の職務の級及び号俸に応じた額の7割とする。また、定年退職する60歳から年金受給開始年齢である65歳までの間、無収入期間が発生しないよう設けられている現行の再任用制度は、定年の引上げにより、最終的に廃止されるが、定年の段階的な引上げ期間中は、定年から65歳までの間の経過措置として現行と同様の制度を残す。

内閣人事局公表の一般職国家公務員在職状況統計表によると、2019年7月1日現在、国税庁の再任用職員は2368人(常時勤務1089人、短時間勤務1279人)で、法務省、厚生労働省に続き省庁別では3番目に多い。一方、新たな再任用制度として、60歳に達した日以後定年前に退職した職員を、本人の希望により、短時間勤務の官職に採用(任期は65歳まで)することができる「定年前再任用短時間勤務制」を導入する。

そこで問題となるのが、定員との関係で定年延長が新規採用者の減少につながりかねないことと、人件費の増加。2022年度の予算・定員要求が注目される。なお、民間企業については、今のところ、定年の引上げの予定はないが、現国会で審議中の高年齢者雇用安定法の改正案により、2021年4月から、65歳から70歳までの高年齢者就業確保措置(定年引上げ、継続雇用制度の導入等)を講ずることが企業の努力義務とされる予定となっている。

「国家公務員法等の一部を改正する法律案」の概要は↓
https://www.cas.go.jp/jp/houan/200313/siryou1.pdf