2016-11-16
労働者の職業能力の開発及び向上等に関する相談に応じ、助言及び指導を業として行うことができるキャリアコンサルタントの登録制度が今年4月から創設された。キャリアコンサルタントが国家資格となったことに伴い、一定の要件のもとでキャリアコンサルティング費用が研修費として、サラリーマン等の必要経費である特定支出控除の対象になったが、注意しなければならない点もある。
というのも、キャリアコンサルティングは研修と一体的に受講することにより、研修の効果をより発揮することができると考えられるため、一定の手続きによりキャリアコンサルティング及び研修を受講した場合には、そのキャリアコンサルティングと研修は一体的であることから、そのキャリアコンサルティングの費用は、研修を受講するために必要な費用に該当し特定支出となるとされている。
したがって、キャリアコンサルティングを受けた者が、そのキャリアコンサルティングにおいて助言・指導のあった研修を受講しなかった場合については、特定支出には該当しないことになる。また、キャリアコンサルティングの費用については、給与所得者が研修を受講するまで特定支出となるかどうかが確定しないことから、研修を受講した年において特定支出にできるので、適用年分にも気を付けたい。
なお、特定支出控除制度では、職務の遂行に直接必要な技術や知識の習得を目的に受講する研修のための支出(研修費)が控除対象とされているが、この研修費には、研修の受講料のほか交通費など研修受講のために必要な費用も含まれると解されている。また、キャリアコンサルティング費用に関しては、雇用保険の教育訓練給付金の支給対象とされているので、その支給部分は差し引いて特定支出額を計算することになる。