2020-04-03
昨今は個人を対象に中古の本屋CD、自家用車やバイク、洋服などを買い取る市場が広がっているが、こうしたケースで業者から買取価格として受け取った金額には消費税が含まれていることはご存じだろうか。消費税は、売り手が買い手から預かった税金を代わりに収める「間接税」であるため、中古品を売却した場合には、買い手から受け取った消費税の納付義務があるのではないかとの疑問も出てこよう。
結論から言うと、中古品を売却したときに受け取った消費税の納税義務は、中古品の売却を事業として行っているかどうかで異なってくる。消費税の課税対象となる要件は、(1)国内において行うものであること、(2)事業者が事業として行うものであること、(3)対価を得て行うものであること、(4)資産の譲渡・貸付け、役務の提供であることであり、この4要件を満たす取引が課税の対象となる。
したがって、国内において中古品を売却した場合は、(1)、(3)、(4)の3要件はすでに満たしているため、(2)の「事業者が事業として行うものであること」が課税の有無の判断のポイントとなる。消費税法上、「事業」とは、「同種の行為を反復、継続かつ独立して遂行すること」と定義している。この定義からすれば、個人が中古品を売却するほとんどのケースが、(2)の要件を満たさないことになるため、消費税を納める必要はないといえる。
ただし、中古品の販売が「事業に付随して行われたもの」である場合には、売却の頻度に関係なく、(2)の「事業者が事業として行うもの」の要件に該当することになる。例えば、製造業を営む個人事業者が、事業に使用している製品運送用トラックを売却したような場合だ。売却自体は「反復、継続かつ独立」して行っているものではないが、そのトラックの売却は事業に付随して行われたものであるため、「事業として」行われたものとなる。
もっとも、中古品の売却が「事業に付随して行われたもの」に該当するのは、普段から事業活動のために使用している事業用資産を売却した場合のみとなる。事業主がプライベートで使用している洋服や古本などの事業には全く無関係な生活用資産を売却した場合は、「事業に付随して行われたもの」には該当しない。また、課税対象となっても、2年前の課税売上高が1千万円以下であれば、消費税の納税義務がないのは言うまでもない。