2020-04-06
2020年度税制改正法である所得税法等一部改正法案は3月27日に成立したが、地方税法等一部改正法案も同日成立している。まず、所有者不明土地等に係る固定資産税の課題への対応が注目される。所有者不明土地等に係る固定資産税の課税上の課題に対応するため、所有者情報の円滑な把握や課税の公平性の確保の観点から、現に所有している者(相続人等)の申告の制度化や使用者を所有者とみなす制度を拡大する。
現に所有している者(相続人等)の申告の制度化については、市町村長は、その市町村内の土地・家屋について、登記簿上の所有者が死亡し、相続登記がされるまでの間における現所有者(相続人等)に対し、市町村の条例で定めるところにより、氏名・住所等必要な事項を申告させることができることとする。2020年4月1日以後の条例の施行の日以後に現所有者であることを知った者について適用する
使用者を所有者とみなす制度の拡大は、住民票、戸籍等の公簿上の調査、使用者と思われる者やその他関係者への質問などの調査を尽くしてもなお、固定資産の所有者が一人も明らかとならない場合、事前に使用者に対して通知した上で、使用者を所有者とみなして、固定資産課税台帳に登録し、固定資産税を課すことができることとする。2021年度分以後の固定資産税について適用する。
次に、未婚のひとり親に対する税制上の措置及び寡婦(寡夫)控除の見直しでは、全てのひとり親家庭に対して公平な税制を実現する観点から、「婚姻歴の有無による不公平」と「男性のひとり親と女性のひとり親の間の不公平」を同時に解消するため、婚姻歴の有無や性別にかかわらず、生計を一にする子(前年の総所得金額等が48万円以下)を有する単身者について、同一の控除(控除額30万円)を適用する。
また、個人住民税の人的非課税措置を見直す。上記に伴い、現行(2019年度改正後)の寡婦、寡夫、単身児童扶養者(児童扶養手当を受給している18歳以下の児童の父又は母)に対する個人住民税の人的非課税措置を見直し、ひとり親及び寡婦(ひとり親を除く)を対象とする。人的非課税措置の対象は前年の合計所得金額135万円以下の者となる。これらの改正は、2021年1月1日に施行される。
そのほか、地方への資金の流れを飛躍的に高めるため、地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)について、以下の拡充措置を講じ、適用期限を5年延長する。税額控除割合を現行の3割(法人住民税+法人税:2割、法人事業税:1割)から6割(法人住民税+法人税:4割、法人事業税:2割)に引き上げる。この結果、損金算入措置(約3割)と併せて最大で寄附金額の約9割の負担軽減となる。
地方税法等の一部を改正する法律案の概要は↓
https://www.soumu.go.jp/main_content/000667524.pdf