所有者不明土地の解消に向けて対応策が次々に実現

所有者不明土地への対応策を、関係省庁である総務省や国土交通省、法務省が次々に実現している。2020年度税制改正においては、課税面から、土地登記簿等に所有者として登記されている個人が死亡している場合に、その土地等の現所有者に対して氏名・住所など、固定資産税の賦課徴収に必要な事項を申告させることができる制度と、所有者が明らかでない場合には、使用者を所有者とみなして固定資産課税台帳に登録する制度を導入した。

国土交通省は、所有者不明土地・管理不全土地の発生抑制・解消のため、地籍調査の円滑化・迅速化を図る取組みを加速させる制度等を3月27日に成立した土地基本法等改正法に盛り込んだ。地籍調査の円滑化・迅速化のため、2020年度からの新たな国土調査事業十箇年計画を策定し、所有者探索のための固定資産課税台帳等の利用、所有者等からの報告徴収、地方公共団体による筆界特定の申請等の調査手続きを見直した。

法務省は、法制審議会民法・不動産登記法部会が、民法・不動産登記法(所有者不明土地関係)等の改正に係る中間試案を昨年12月3日に取りまとめた。ポイントは、相続登記の申請の義務化や、一定の要件の下で土地所有権の放棄を可能とする制度、長期間経過した場合に遺産分割を合理的に分割する制度の創設で、本年中に民法・不動産登記法の改正法案を国会に提出する予定となっている。

関係省庁の対応は、骨太の方針2019(2019年6月21日閣議決定)で、所有者不明土地等の解消や有効活用に向け、「土地の適切な利用・管理の確保や地籍調査を円滑かつ迅速に進めるための措置、所有者不明土地の発生を予防するための仕組み、所有者不明土地を円滑かつ適正に利用するための仕組み等について2020 年までに必要な制度改正の実現を目指す」と記載されたことを受けてのもの。