2020-04-08
突然、税務署から消費税の中間申告分の納付のお知らせが来て驚かれる経営者も少なくないと思われる。特に、昨年10月の消費税率10%への引上げ以降は、中間申告が必要となる基準も広がるので要注意だ。消費税法では、前期の確定消費税額が48万円(地方消費税は含まない)を超えると年1回の中間申告が必要となる。400万円を超え4800万円以下であれば年3回、4800万円を超えると年11回のそれぞれ中間申告が必要とされている。
こうして、これまで年の消費税額が48万円以下だった経営者は年1回の申告で済んでいたのに、前課税期間の納税実績が48万円を超えた場合は税務署から中間申告分の納付のお知らせが来て、そんな仕組みが念頭になければ驚いてしまうわけだ。急に消費税の納税資金を手当てしなければならないだけでなく、実際のところ、前課税期間の納税実績が、業績の悪化などによって当期の業績にそぐわないということも少なくない。
業績が悪化していて売上が落ちていれば、預かる消費税も当然減ることになり、前課税期間の納付実績との差額を企業側で負担しなければならなくなる。しかし、こうした場合は、消費税の中間申告を、税務署から通知された前課税期間の実績に基づく金額ではなく、現在の試算表を基に仮決算を組んで、あくまでも「当期の課税売上高」をベースに中間納付額を算出して申告することもできる。
消費税の中間申告が年3回や年11回の企業では、その都度仮決算を組むとなると事務処理が増えてコスト面などから難しいが、年1回の企業であれば、法人の中間申告に合わせて仮決算を組むことになるので効率的といえる。なお、仮決算を組んで中間納付額を計算した結果、控除不足額が生じても還付はされない。還付は、あくまでも、年間を通じて控除不足額が生じた場合のみだ。この場合は消費税額を「0」として申告することになる。
なお、2019年10月1日より消費増税及び軽減税率の導入によって、消費税率が変更され、10月1日以降は、標準税率が7.8%(9月30日以前は6.3%)、地方消費税率が2.2%(同1.7%)の計10%に引き上げられ、軽減税率が6.24%、地方消費税率が1.76%の計8%となっている。2021年以降の中間申告は、原則として増税後の消費税率7.8%及び軽減税率6.24%の納付額合計が48万円を超える場合に必要となるので留意したい。