2020-05-07
「新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための国税関係法律の臨時特例に関する法律案」及び「地方税法等の一部を改正する法律案」が4月30日、国会で成立し、同日施行された。新型コロナウイルス感染症のわが国社会経済に与える影響が甚大なものであることに鑑み、感染症及びその蔓延防止のための措置の影響により厳しい状況に置かれている納税者に対し、緊急に必要な税制上の措置を講ずることとしている。
同臨時特例法の主な内容は、まず、新型コロナウイルス感染症の影響により2020年2月以降の収入に相当の減少があり、納付することが困難である事業者等に対し、無担保かつ延滞税なしで1年間納税を猶予する特例を設ける。次に、資本金1億円超10億円以下の法人の2020年2月1日から2022年1月31日までの間に終了する各事業年度において生じた欠損金額について、欠損金の繰戻しによる還付制度の適用を可能とする。
また、政府の自粛要請を踏まえて文化芸術・スポーツに係る一定のイベント等を中止等した主催者に対して、観客等が入場料等の払戻請求権を放棄した場合、その放棄した金額(上限20万円)について寄附金控除を適用する。さらに、新型コロナウイルス感染症の影響で、2020年12月31日までに居住の用に供することができなかった場合等も、期限内に居住の用に供したものと同様の住宅ローン控除が受けられるよう適用要件を弾力化する。
そのほか、消費税の課税事業者選択届出書等の提出に係る特例として、新型コロナウイルス感染症の影響により2020年2月以降の収入が著しく減少した事業者に係る消費税の課税選択について、課税期間開始後における変更を可能とする。また、新型コロナウイルス感染症によりその経営に影響を受けた事業者に対して、公的金融機関や民間金融機関等が行う特別貸付けに係る契約書について、印紙税を非課税とする。
一方、地方税関係では、徴収の猶予制度の特例や固定資産税等の軽減措置などが手当てされている。徴収の猶予制度の特例では、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で多くの事業者の収入が急減しているという状況を踏まえ、無担保かつ延滞金なしで1年間、徴収猶予を適用できる。同特例は、収入が大幅に減少(前年同期比概ね20%以上の減少)した場合において、無担保かつ延滞金は免除で1年間、地方税が徴収猶予されるもの。
固定資産税等の軽減措置では、中小事業者等が所有する償却資産及び事業用家屋に係る固定資産税等を軽減する。2021年度課税の1年分に限り、償却資産及び事業用家屋に係る固定資産税及び都市計画税の課税標準を2分の1又はゼロとする。2020年2月~10月までの任意の3ヵ月間の売上高が、前年の同期間と比べて、30%以上50%未満減少している事業者は2分の1、50%以上減少している事業者はゼロとする。
国税関係法律の臨時特例に関する法律案要綱は↓
https://www.mof.go.jp/about_mof/bills/201diet/kz020427y.html