「納税の猶予の特例」の適用で法令解釈通達を公表

国税の猶予制度は、一時に納税をすることにより事業の継続や生活が困難となるときや、災害で財産を損失した場合などの特定の事情があるときは、税務署に申請することで、最大1年間、納税が猶予される制度。現行法には、(1)換価の猶予と(2)納税の猶予があるが、この度、新型コロナウイルス感染症の影響により収入が大幅に減少している納税者に向けて、(3)納税の猶予の特例(特例猶予)が創設された。

国税庁は法令解釈通達を公表し「納税の猶予の特例」の適用について解説している。それによると、「新型コロナウイルス感染症等の影響により納税者の事業につき収入の減少があった」とは、例えば、納税者又はその親族、従業員等が新型コロナウイルス感染症に感染したことによる影響のほか、イベント開催又は外出等の自粛要請、入国制限、賃料の支払猶予要請等の各種措置による影響等により、収入の減少があったことをいう。

「事業につき相当な収入の減少があった」とは、2020年2月1日から猶予を受けようとする国税の納期限までの間(新型コロナ税特法の施行の日(2020年4月30日)から2月を経過した日前に納期限が到来する国税は、同年2月1日からその猶予の申請期限までの間)の任意の期間の収入金額につき、その調査期間の直前1年間における調査期間に対応する期間の収入金額に対して、おおむね20%以上減少していると認められることをいう。

また、納付困難のうち、「全部を一時に納付することが困難」とは、納付すべき国税を納付する資金がないこと、又は納付すべき国税を納付する資金を納税者の事業の継続のために必要な少なくとも今後6ヵ月間の運転資金並びに納税者及び納税者と生計を一にする配偶者その他の親族の生活の維持のために必要な少なくとも今後6ヵ月間の費用に充てた場合に国税を納付する資金がないことをいう。

猶予する期間は、1年を限度として納税者が申請した期間。猶予する期間の始期は、猶予を受けようとする国税の納期限の翌日。猶予を受けることができる国税は、2020年2月1日から2021年1月31日までの間に納期限が到来する国税。納税の猶予ができる金額は、納付すべき国税の全部又は一部を一時に納付することが困難である場合におけるその納付することが困難な金額として、次の(1)の額から(2)の額を控除した金額とする。

(1)納付すべき国税の額、(2)納税者の納付能力を判定した日において納税者が有する現金、預貯金等の価額に相当する金額から、法人の場合には、その事業継続に必要な少なくとも今後6ヵ月間の運転資金の額、個人の場合には、納税者及び納税者と生計を一にする配偶者等の生活の維持に必要な少なくとも今後6ヵ月間の費用相当額や、納税者の事業の継続に必要な少なくとも今後6ヵ月間の運転資金の額、を控除した金額とする。

同法令解釈通達は↓
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/chosyu/200428/01.htm