法人に係る消費税の申告期限を1月延長する特例創設

2020年度税制改正において、「法人税の申告期限の延長の特例」 の適用を受ける法人が、 「消費税申告期限延長届出書」を提出した場合には、その提出をした日の属する事業年度以後の各事業年度終了の日の属する課税期間に係る消費税の確定申告の期限を1月延長する 特例が創設された。2021年3月31日以後に終了する事業年度又は連結事業年度終了の日 の属する課税期間から適用される。届出書は適用日前であっても提出できる。

この特例の適用により、消費税の確定申告の期限が延長された期間の消費税及び地方消費税の納付については、その延長された期間に係る利子税を併せて納付することとなる。また、消費税の確定申告の期限が延長された場合でも、「中間申告」(年11回中間申告を行う場合の1回目及び2回目の中間申告対象期間を除く)の期限や「課税期間の特例により短縮された課税期間」に係る確定申告の期限は延長されない。

そのほか、「法人税の申告期限の延長の特例」の適用を受ける連結親法人又はその連結子法人が「消費税申告期限延長届出書」を提出した場合にも、その提出をした日の属する連結事業年度(その連結事業年度終了の日の翌日から45日以内に提出した場合のその連結事業年度を含む)以後の各連結事業年度終了の日の属する課税期間に係る消費税の確定申告の期限を1月延長することとされた。

消費税の申告期限の延長については、2020年度の税制改正を前に、経済産業省や経団連が、財務省に要望していた。改正前は、例えば3月決算の場合は、5月末が消費税の申告期限だが、法人税は6月末まで延長が認められることが多く、申告の期限をそろえて正確に申告できるようにすることを求めていたもの。消費税の申告期限は、事業年度が終わってから2ヵ月以内で、大企業を中心に期限の延長を求める声が少なくなかった。

特に2019年10月には消費増税が実施され、軽減税率も導入されたことから消費税の処理はより煩雑になった。企業の経理担当者にとってはより事務負担が増す事態となっており、政府が進める“働き方改革”に反する状況となる。そこで、現在二度手間になってしまっている消費税の申告を一度に集約し、事務手続きの負荷を軽減させるために、消費税の申告期限延長特例が創設されることになったとみられている。