新型コロナ下の賃料減額は消費税率の経過措置を継続

新型コロナウイルス感染症の新規感染者の減少等により、感染拡大防止のために実施されていた緊急事態宣言が5月25日に全面解除された。一方、緊急事態宣言時における店舗の休業要請等により、賃料の支払が困難なテナントが急増しており、国土交通省では、不動産関連業界に対し、賃料の支払が困難なテナントの状況に配慮して支払の猶予や賃料の減免に応じるなど、柔軟な措置の実施を検討するよう要請を出している。

税制上の取扱いでは、すでに、テナント(賃借人)支援のために、賃料を一定の期間減額した場合、その減額した分の差額は、法人税上、寄附金として取り扱われないことが明らかになっている。他方、不動産賃貸業者の中には、テナントへの賃貸について消費税率等の経過措置(旧税率8%)の適用を受けているケースも多く、要請に応じて賃料を減額してもこれまで同様に、経過措置が適用されるのが気になるところだ。

この消費税率等の経過措置の適用について、国税庁では、新型コロナウイルス関連のFAQにおいて、資産の貸付けに係る消費税率等の経過措置(旧税率8%)の適用を受けている賃料を、2019年指定日(2019年4月1日)以後に変更した場合は原則、変更後に行われる資産の貸付けにはその経過措置は適用されないが、その賃料の変更が「正当な理由に基づくもの」であれば経過措置が適用されると説明している。

今回の政府の要請を踏まえて新型コロナウイルス感染症等の影響を受けた賃借人の支援のために賃料を減額することが明らかな場合は、「正当な理由に基づくもの」に該当するので、引き続き資産の貸付けに係る消費税率等の経過措置が適用される。その際、賃料の減額に係る変更契約書や覚書等において、新型コロナウイルス感染症等の影響を受けた賃借人の支援のために賃料を減額する旨を明らかにしておく必要があるとしている。

さらに、不動産以外の資産(事務機器等)の貸付けについて、 新型コロナウイルス感染症等の影響を受けた賃借人の支援のために 賃料を一定の期間減額する場合も、同様に取り扱って差し支えないこと、また、政府の要請が行われる前に、賃貸業者が、新型コロナウイルス感染症等の影響を受けた賃借人の支援のために 賃料を一定の期間減額した場合も、同様に取り扱って差し支えないとの考えを示している。