2020-06-08
2020年度税制改正では、現行の連結納税制度に対して、税額計算が煩雑であることや、税務調査後の修正・更正等に時間がかかり過ぎるといった指摘があり、損益通算のメリットがあるにもかかわらず、制度を利用していない企業グループも多く存在したことを背景に制度を抜本的に見直し、グループ通算制度を創設した。これを受け、国税庁はこのほど、「グループ通算制度に関するQ&A」をホームページに公表した。
グループ通算制度は、2022年4月1日以後開始する事業年度から、企業グループ全体を一つの課税単位とする現行制度に代えて、企業グループ内の各法人を納税単位として、各法人が個別に法人税額の計算及び申告を行いつつ、損益通算等の調整を行う簡素な仕組みとすることなどにより、事務負担の軽減を図る。Q&Aでは、適用対象法人や通算制度の承認、申告・納付など全部で43の質問・回答が掲載されている。
例えば、連結法人の通算制度への移行については、連結納税制度の適用を受けている法人の場合、通算制度の承認があったものとみなされ、事業年度開始の日の前日までに親法人が税務署長に届出書を提出した場合、親・子法人は通算制度を適用しない法人になるとともに、連結納税制度の適用もされないため、親・子法人は、連結納税制度及び通算制度のいずれも適用しない法人として申告することになると説明。
また、事後の税務調査により損益通算前の所得の金額が当初(期限内)申告と異なることとなった場合の通算法人の損益通算の計算については、原則として、損益通算に係る損金算入額又は益金算入額は期限内申告の金額に固定して、その通算法人の所得の金額を計算するが、通算法人の全てに期限内申告において所得金額が0又は欠損金額があるなど一定の要件に該当する場合には、通算グループ内の全法人が損益通算を再計算することとなる。
そのほか、通算グループ内の各通算法人の消費税等に係る経理処理(税抜経理方式・税込経理方式)については、グループ内の各法人の経理処理方法を統一することまでは求められていないため、消費税等に係る経理処理についても、通算法人ごとに税抜経理方式、税込経理方式又は併用方式のいずれかの経理方法により処理することが認められていると説明している。
「グループ通算制度に関するQ&A」は↓
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/hojin/group_faq/pdf/0020004-041.pdf