株主総会の延長に伴う定期同額給与の通常改定時期は

新型コロナウイルス感染拡大の影響で、定時株主総会を延長する企業も少なくないが、税務上、問題となるものに役員給与の取扱いがある。例えば、3月決算法人A社の場合、基準日を3月末日とし、毎年6月下旬に定時株主総会を開催しているが、今回は、新型コロナウイルス感染症の影響により、決算・監査に関する業務に大きな遅延が生じている状況にあり、通常どおり6月下旬に定時株主総会を開催することが困難となった。

このことから、5月下旬に基準日を変更する旨を公告し、定時株主総会の開催時期を8月下旬に延期することになった。他方、役員給与のうち、定期同額給与の改定(「通常改定」)については、会計期間開始の日から3月(法人税法第75条の2第1項各号の規定の適用を受けている場合にはその指定月数に2を加えた月数)を経過する日(「3月経過日等」)までに行うことが要件とされている。

これに加えて、継続して毎年所定の時期にされる改定に限り、3月経過日等後となることにつき「特別の事情があると認められる場合」には、その通常改定の時期の要件は、その改定の時期とされている。そこで、今回のA社の役員給与の改定は、その改定時期が通常の改定時期である3月経過日等後となるが、改定後の役員給与の額は定期同額給与に該当しないこととなるのか疑義が生ずるところだ。

これに関しては、国税庁の「新型コロナウイルスに係る税務上の取扱いFAQ」によると、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、定時株主総会に合わせて継続して毎年所定の時期にされる役員給与の通常改定が3月経過日等後に行われる場合には、自己の都合によらない「特別の事情があると認められる場合」に該当し、定期同額給与の通常改定の時期の要件を満たすことを認めている。

つまり、法人税法施行令 69 条に規定する「特別の事情があると認められる場合」に該当し、定期同額給与の通常改定時期の要件を満たすことから、改定後の役員給与の額は定期同額給与に該当するとしている。なお、事前確定届出給与の届出期限についても延長が認められており、この場合、別途、申請書等を提出する必要はなく、届出書の余白に「新型コロナウイルスによる届出延長申請」である旨を記載して提出すればいいとのことである。