2016-11-30
経済の国際化に伴い、企業や個人による国境を越えた経済活動が複雑・多様化している。海外取引等のある法人の中には、海外の取引先との経費を水増ししたり、売上を除外するなどの不正計算を行うものが見受けられる。このような悪質な海外取引法人等に対して、国税当局は、海外への資金移動に着目した資料情報の収集活用や租税条約に基づく情報交換制度の積極的な活用などにより、深度ある調査に取り組んでいる。
国税庁によると、今年6月までの1年間(2015事務年度)における海外取引法人等に対する調査は、1万3044件(前事務年度比0.7%増)行われ、うち25.8%に当たる3362件(同2.0%減)から海外取引等に係る非違を見つけ、2308億円(同4.6%増)の申告漏れ所得金額を把握した。うち438件(同4.8%増)は、租税回避行為など故意に不正計算を行っており、その不正所得金額は167億円(同57.5%減)にのぼった。
一方、経済取引の国際化に伴い、企業や個人による国境を越えた経済活動が複雑・多様化するなか、国税庁では、非居住者や外国法人に対する支払(非居住者等所得)について、源泉所得税の観点から、重点的かつ深度ある調査を実施している。こうした中で、外国法人に対する工業所有権等の使用料の支払について、源泉徴収を行っていなかった事例が数多く見受けられたという。
2015事務年度の調査では、給与等や使用料、人的役務提供事業などについて国際源泉所得税の課税漏れを1527件(前年度比2.3%増)見つけ、169億8800万円(同317.2%増)を追徴課税している。国際源泉所得税の非違の内訳(追徴本税額2000万円以上)は、「使用料」に係るものが35%を占めて最多、次いで「不動産賃貸」16%、「給与等」16%、「人的役務提供事業」12%、「利子・配当」11%、「不動産譲渡」11%などとなっている。