2020-07-03
2019年分所得税等の確定申告では、所得税の申告書提出件数が2204万1千件(前年分比▲0.8%減)で5年ぶりに減少し、過去最高だった2008年分(2369万3千件)を7%下回る。それでも、こうした2千万件を超える納税者数に対応するために、国税庁は、確定申告における基本方針として、「自書申告」を推進、そのためのICT(情報通信技術)を活用した施策に積極的に取り組んでいる。
国税庁のホームページ上で申告書が作成できる「確定申告書等作成コーナー」やe-Taxなど、ICTを利用した所得税の確定申告書の提出人員は全体で1591万5千人にのぼり、2018年分より3.9%増加した。所得税の確定申告書の提出人員に占める割合は前年より3.3ポイント上昇の72.2%に達した。贈与税の申告でも、提出人員48万8千人のうち79.3%(38万7千人)がICTを利用、その割合は前年分から2.9ポイント上昇している。
署でのICT利用は、「署で申告書を作成してe-Taxで提出」が355万2千人、「同書面での提出」が26万2千人の計381万4千人と、前年分に比べ▲10.9%減少。一方で、自宅などでのICT利用は、「HP作成コーナーで申告書を作成、書面で提出」が465万7千人、「同e-Taxで提出」が195万人、「各種会計ソフト等で作成・e-Taxで提出」が435万2千人の計1096万人で同7.8%増と、自宅等でのICT利用が増加している。
今回の特徴は、2019年1月から始まったスマートフォン等を利用した申告の増加がある。今回の確定申告は新型コロナ感染症拡大の影響から申告・納付期限を4月16日まで延長したが、その新型コロナの感染拡大などが影響し、「自宅などからスマートフォン等を利用してe-Taxで提出」した人が前年分の約3.8倍の47万3千人に増えた。この結果、「スマートフォン等を利用した提出人員」は同約2.9倍の107万5千人にのぼった。
こうしたことから、確定申告におけるe-Tax(国税電子申告・納税システム)の利用は、(1)添付書類の提出省略、(2)書面提出に比べ還付金を早期還付、などのメリットを積極的に広報するなど普及拡大に努めた結果、e-Taxでの所得税の申告書提出件数が、前年の1021万人から1099万5千人へと7.7%増加した。これは、所得税の確定申告書の提出人員の約5割(49.9%)がe-Taxを利用したことになる。