所有者不明土地問題の解決に向けた民法等の見直し

喫緊の課題となっている所有者不明土地問題の解決に向けて民法・不動産登記法の見直しが進められている。政府は7月3日、第6回「所有者不明土地等対策の推進のための関係閣僚会議」(メンバー:総務・法務・財務・農林水産・国土交通・復興の各大臣及び内閣官房長官)を持ち回り開催し、民事基本法制の抜本的な見直しなどを盛り込んだ所有者不明土地等対策の新たな基本方針及び工程表を決定した。

不動産登記簿により所有者が直ちに判明しない、又は判明しても連絡がつかない所有者不明土地は、土地相続登記がされないこと等により発生している。そのため、重要課題である民事基本法制(民法・不動産登記法)の見直しについて、現在、法務省の法制審議会民法・不動産登記法部会が、法制化に向け検討課題の最終的な審議を進めており、2020年度中できるだけ速やかに法案を提出する。一部を除き公布から2年程度で施行する予定。

民法・不動産登記法改正のポイントは、(1)現行法上、相続が発生しても義務がない相続登記や住所変更等の登記の申請を、不動産を取得した相続人に義務付け、(2)現行法上必ずしも明らかでない土地所有権の放棄を、限定された要件を満たす場合にのみ認める、(3)遺産分割されずに遺産共有状態が継続し数次相続が発生した場合には権利関係が複雑化することから、遺産分割されずに長期間経過した場合の合理的な遺産分割制度を創設する。

民法の共有制度・財産管理制度・相隣関係規定も見直す。共有関係にある所有者不明土地については、不明共有者に対して公告等をした上で、残りの共有者の同意で、土地の利用を可能にすることや、共有者が不明共有者の持分を相当額の金銭を供託して取得するなどして共有関係を解消する制度の創設、共有物を適切に管理するとともに、利用希望者の負担を軽減する観点から、共有者を代表する管理権者を選任する方策について検討する。

財産管理制度については、財産管理人が不在者等の土地だけでなく、それ以外の財産も管理しなければならない現在の制度では活用しにくいので、所有者不明土地に特化した土地管理制度の創設を検討。また、相隣関係に関する規定では、ライフライン設置等のために所有者不明の隣地でも同意不要で使用可能とする制度の創設や、近傍の土地所有者等において、土地の管理不全状態を除去する方策について検討する。

民法及び不動産登記法の改正については↓
http://www.moj.go.jp/content/001284667.pdf