2020-07-21
日本一般用医薬品連合会と日本ОTC医薬品協会は、セルフメディケーション税制に関する生活者調査結果を踏まえ、同税制の対象医薬品の拡大等、わかりやすく使い勝手のよい制度への改善を2021年度税制改正で要望している。同税制は、スイッチOTC医薬品(要指導医薬品及び一般用医薬品のうち、医療用から転用された医薬品)を購入した際に、その購入費用について所得控除が受けられるもの。
今春に実施した調査結果によると、同税制の認知度は72.1%、利用意向は12.1%で、ともに前年とほぼ横ばいの結果となった。現行制度のままでは利用拡大が見込みにくい状況にあることが示唆されたとして、利用上の改善ニーズの高かった「申告対象の製品を全ОTC医薬品に拡大」、「申告手続きの簡素化」、「下限金額の撤廃」を要望。調査は第6回目で、今年の確定申告の時期にインターネットで16万人を対象に実施した。
セルフメディケーション税制は、医療費控除の特例として、健康の維持増進及び疾病の予防への取組みとして一定の取組みを行う個人の対象医薬品の購入額の合計が年間1万2千円を超えるときに、超える部分(8万8千円が限度)が所得から控除される。2017年1月から2021年12月までの時限措置で、医療費控除の特例として2017年分確定申告から適用が開始された。本年5月時点の対象医薬品は1797品目。
国税庁が毎年公表している確定申告状況によると、同税制の適用者数は2017年分、2018年分が各2万6千人、2019年分が3万人。これに対し医療費控除の適用者数は2017年分が749万人、2018年分が759万人、2019年分が756万人と大差がある。今回の要望にある対象品目を全OTC医薬品に拡大した場合、セルフメディケーション税制利用者は約19万人となり、減税規模は約8億円になるとの推計を示している。
さらに対象品目を全OTC医薬品に拡大した上で、控除する下限額を0円とし、年間1万2千円超のOTC医薬品の購入をセルフメディケーション税制利用の条件とする場合、セルフメディケーション税制利用者は約24万人(2019年分3万人)となり、1人当たりの還付額が5400円(同3100円)に上昇し、減税規模は約13億円(同1億円)になるとも推計している。
「セルフメディケーション税制に関する生活者16万人調査」は↓
https://www.jfsmi.jp/pdf/20200702_1.pdf