輸入品は保税地域から引き取る際に消費税がかかる

外国から部品や原材料を仕入れている企業は少なくないが、輸入取引についても消費税が課税される。消費税法でいう輸入取引とは、保税地域から外国貨物を引き取ることを言う。保税地域から引き取られる外国貨物、いわゆる輸入品には原則として消費税がかかる。通常の国内での仕入れの場合は仕入先に消費税を支払っているが、輸入の場合は保税地域から輸入品を引き取る際に、保税地域を管轄する税関長に納付することになる。

外国貨物の課税標準は、関税課税価格いわゆるCIF価格(運賃、保険料込み価格)に消費税以外の関税及び個別消費税の額に相当する金額を加算した合計額だ。これに原則7.8%の消費税が課税され、消費税額の22/78相当額が地方消費税となる。納税義務者は、輸入品を引き取る者が消費税の納税義務を負う。したがって、免税事業者はもとより、個人事業者でないサラリーマンや主婦であっても、輸入品を引き取るときには納税義務者となる。

輸入品を保税地域から引き取ろうとする者は、原則として、品名、数量、金額等と消費税額などを記載した申告書を、保税地域を所轄する税関長に提出し、引き取るときまでに消費税を納付しなければならない。ただし、税関長に納期限の延長についての申請書を提出し、担保を提供すれば、担保の額の範囲内の消費税額について、最長3ヵ月間の納期限の延長が認められる。

会計処理として、輸入消費税は国内取引の仮払消費税とは区分し、消費税及び地方消費税は仮払消費税等として、消費税申告の際に課税貨物に係る消費税額として控除する。輸入業者は輸入消費税の控除を忘れていることが多く、消費税の過大な納税に気づいていないので注意したい。そのほか、関税や通関料等は消費税の課税対象ではないが、国内運送費などは課税対象になるので、内容を確認し区分しなければならない。

これらは、あくまで商業目的輸入の場合で、個人使用目的輸入の場合は関税を計算する上での課税対象額が変わってくる。そもそも商業目的でも個人使用目的でも課税対象額が1万円以下の場合は免税となり、関税も消費税も課税されない。ただし、課税対象額が1万円以下であっても、我が国の産業に対する影響その他の事情を勘案して免税しない物品(例えば、革製のカバンやハンドバック、革靴など)もある。