2020-10-09
厚生労働省は、セルフメディケーション税制の対象医薬品の拡大など、同税制の延長・拡充を盛り込んだ2021年度税制改正要望を公表した。セルフメディケーション税制は、2017年1月から2021年12月までの5年間の時限措置で、対象であるスイッチОTC医薬品の購入額の合計が年間1万2千円を超えるときに超える部分(8万8千円が限度)が所得から控除される医療費控除の特例として、2017年分確定申告から適用が開始された。
本年5月時点の対象医薬品数は1797品目。同税制の適用者数は2017年分、2018年分が各2万6千人、2019年分が3万人にとどまっている。今回の要望では、来年末に適用期限が到来する同税制をさらに2022年から5年間の延長を行うとともに、対象医薬品の範囲をスイッチОTC医薬品だけでなく非スイッチОTC医薬品のうち治療または療養に使用されるものも追加することを求めた。
また、所得控除額の算出方法を見直し、控除額の上限を10万円に引き上げ、購入額から差し引く下限額を現行の1万2千円から引き下げることを要求。ただし、少額還付の抑制のため、購入額が1万2千円を超えることを利用条件としている。日本製薬団体連合会など業界団体では、下限額の0円引下げを要望していたが、医療費控除との関係もあり、厚労省としては下限額の明記までには至らなかったものとみられる。
さらに、手続きの簡素化も求める。同税制では、適用を受ける年分に、インフルエンザ等の予防接種や職場での定期健康診断、市区町村のがん検診等の「一定の取組み」を行っていることが要件のため、確定申告の際に検診等を証明する医療機関等の領収書や結果通知書等の第三者作成書類の添付・提示が必要だが、この第三者作成書類を手元保管とし確定申告書への添付等は不要とし、e-Taxの場合の入力手続きの簡素化を図ることも求めている。
そのほか、新型コロナ感染症について、ワクチンの早期実用化のための研究開発支援等を行っているが、今後新型コロナ感染症に係る予防接種を実施する場合も、予防接種法等に基づく健康被害の救済給付に対する税制措置と同様の措置を要望。予防接種法等に基づく健康被害の救済給付に対しては、支給される金銭への公課の禁止、医療費の支給に係る医療に対する消費税の非課税、救済給付を受ける権利の差押さえ禁止等が定められている。
厚労省の2021年度主な税制改正要望の概要は↓
https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/000677542.pdf