被相続人が保険料を負担していた死亡保険金の取扱い

被相続人の死亡によって取得した生命保険金や損害保険金で、その保険料の全部又は一部を被相続人が負担していたものは、相続税の課税対象となる。この死亡保険金の受取人が相続人(相続を放棄した人や相続権を失った人は含まれない)である場合、全ての相続人が受け取った保険金の合計額が「500万円×法定相続人の数」の算式によって計算した非課税限度額を超えるとき、その超える部分が相続税の課税対象になる。

法定相続人の数は、相続の放棄をした人がいても、その放棄がなかったものとした場合の相続人の数をいう。また、法定相続人の中に養子がいる場合、法定相続人の数に含める養子の数は、(1)実子がいるときは1人、(2)実子がいないときは2人までとなる。ただし、養子の数を法定相続人の数に含めることで相続税の負担を不当に減少させる結果となると認められる場合、その原因となる養子の数は、(1)又は(2)の養子の数に含めることはできない。

各相続人一人一人に課税される金額は、次の算式によって計算した金額となる。それは、「その相続人が受け取った生命保険金の金額-(非課税限度額)×(その相続人が受け取った生命保険金の金額÷全ての相続人が受け取った生命保険金の合計額)=その相続人の課税される生命保険金の金額」となる。この計算は、相続税の申告書第9表「生命保険金などの明細書」を使用すると分かりやすく便利だ。

また、養子になった経緯が、(1)被相続人との特別養子縁組、(2)被相続人の配偶者の実の子供、(3)被相続人と配偶者の結婚前に特別養子縁組でその配偶者の養子となっていて、配偶者の結婚後に被相続人の養子となった、(4)被相続人の実の子供、養子又は直系卑属が既に死亡しているか、相続権を失ったため、その子供などに代わって相続人となった直系卑属、のいずれかに当てはまる人は、実の子供として全て法定相続人の数に含まれる。

なお、契約上の受取人以外の人が受け取った場合、例えば、父の死亡保険金の受取人が子であったため、子が一旦生命保険金を受け取った後、母と子で話し合って分けたケース。被相続人が保険料を支払っていた生命保険金は、相続税法上のみなし相続財産であり、本来の相続財産ではないため、遺産分割の対象とはならず、契約上の受取人以外の人が保険金を受け取った場合は、その人は、その契約上の受取人から贈与により取得したことになる。