課税強化で相続税の課税割合、8.0%へと大幅上昇

国税庁がこのほど公表した2015年分相続税の申告状況によると、2015年中に亡くなった人(被相続人)は、過去最高だった前年2014年(127万3004人)を1.4%上回る129万444人だった。このうち相続税の課税対象被相続人数は、2015年1月以後の相続等から基礎控除額の引下げ等が行われた課税強化により、同83.2%増の10万3043人、課税割合は8.0%(2014年4.4%)とともに大幅増加した。

2015年から課税強化され課税割合が注目されていたが、8.0%は前年より3.6ポイント増加して、4%強で推移していた過去10年間では最高の割合となり、相続で税金がかかるのは100人に8人となった。また、相続財産価額から被相続人の債務や葬儀費用などを差し引き、相続開始前3年以内の生前贈与等を加算した相続税の課税価格は、14兆5554億円で前年比26.8%増加し、税額も1兆8116億円で同30.3%増とともに増加した。

ただし、被相続人1人当たりでみると、課税価格が前年比30.8%減の1億4126万円、税額も同28.9%減の1758万円とともに減少した。これは、課税強化によって新たに課税対象となった多くの納税者がいることを物語る。また、相続財産額の構成比は、「土地」が38.0%と約4割を占め、「現金・預貯金等」が30.7%、「有価証券」が14.9%、退職金や生命保険などが含まれている「その他」が11.0%、「家屋」が5.3%の順となっている。

前年と比べ「土地」は3.5ポイント減少したが、「現金・預貯金等」は4.1ポイント増加し、平成に入ってから最高の構成比となった。相続財産に占める割合が高い土地の評価はいまだ低迷し、課税強化によっても相続財産の課税価格が基礎控除額(「3000万円+600万円×法定相続人の数」)内でおさまるケースが多いことになる。2011年分から平均路線価額は算出していないが、前年の2010年分は1994年を100とすると、49に低迷している。

もっとも、1994年でも課税割合は5.2%だから、もともと相続税の課税割合は低いともいえる。2013年度税制改正では、相続税について、課税ベースの拡大と税率構造の見直しが行われた。具体的には、2015年より、相続税の基礎控除について、改正前の「5000万円+1000万円×法定相続人数」を約6割に引き下げるとともに、最高税率も55%に引き上げられており、課税割合の大幅な上昇につながったとみられる。

2015年分相続税の申告状況は↓
http://www.nta.go.jp/kohyo/press/press/2016/sozoku_shinkoku/sozoku_shinkoku.pdf