2020-11-02
国税庁においては、新型コロナウイルス感染症の影響により、納税が困難な納税者に対し、納税の猶予等の納税緩和措置を適切に適用していく方針としているが、このほど、2020年4月30 日に施行された「納税の猶予制度の特例」(特例猶予)について、2020年9月30 日までの5ヵ月間に猶予申請を許可した件数が20万3202件、猶予した税額が7833億4500万円にのぼることを明らかにした。
新型コロナ感染症の影響に係る特例猶予は、2020年2月1日から2021年2月1日までに納期限が到来する所得税、法人税、消費税等ほぼすべての税目(印紙で納めるもの等を除く)が対象になるが、このうち、既に納期限が過ぎている未納の国税(他の猶予を受けているものを含む)についても、遡ってこの特例を利用することができる。このため、今回の計数には、既存猶予制度の適用件数・税額や遡及申請分の一部が含まれていない。
納税猶予制度の特例は、新型コロナ感染症の影響により2020年2月以降の収入に相当の減少があり、税金の納付が困難な事業者等に対し、無担保かつ延滞税なしで1年間納税を猶予するもの。2020年2月以降の任意の期間(1ヵ月以上)において、事業等に係る収入が前年同期に比べて概ね20%以上減少していること、一時に納税を行うことが困難、のいずれも満たす納税者(個人法人の別、規模は問わず)が対象となる。
9月までの5ヵ月間に納税を猶予した税額約7833億円の内訳は、「消費税及び地方消費税」が4763億6100万円と全体の約6割(60.8%)を占めて最も多く、次いで、「法人税」が2195億6400万円(構成比28.0%)、「所得税」が657億1700万円(同8.4%、「源泉所得税」418億2900万円、「申告所得税」238億8800万円)、「その他の税目」が217億400万円(同2.8%)となっている。
ちなみに、既存の国税の猶予制度は、期限内の納税が難しい場合に、申請により税務署長の承認を受けて、期限後に(必要に応じ分割して)納税ができるようになる制度。猶予を受けるためには一定の条件を満たす必要があるが、猶予期間中(原則1年間)は、延滞税が軽減される(通常:8.9%/年、猶予期間中1.6%/年)。2018事務年度(2018年7月1日~2019年6月末)においては、4万1871件、税額694億8700万円が適用されている。