タワーマンション節税にメス、高層階と低層階で負担差を設定

2017年度税制改正において、話題となっていた“タワーマンション節税”に、ついにメスが入る。現行制度では、一棟の評価額を階数に関係なく床面積で按分しており、床面積が同じであれば階層にかかわらず、固定資産税額は同じだったが、2017年度以降に販売される高さ60メートルを超え、おおむね20階建て以上の新築高層マンション(いわゆるタワーマンション)を対象に、高層階ほど増税、低層階ほど減税となるように見直す。

相続税の評価額は、高層マンションになるほど市場価額(時価)と乖離しがちである。土地の評価はマンションの敷地全体を戸数で割るため、高層で戸数が多いほど一戸当たりの持ち分が少なくなるからだ。時価に反映される「眺望」などのメリットは加味されないため、同じ広さであれば低層階も高層階も評価額は同じ。このため、富裕層の間で相続税対策としてタワーマンションの高層階の部屋を購入する動きが加速していた。

与党税制改正大綱では、「高さが60メートルを超える建築物(「超高層建築物」)のうち、複数の階に住戸が所在しているものについては、その居住用超高層建築物全体に係る固定資産税額を各区分所有者に按分する際に用いるその各区分占有者の専有部分の床面積を、住戸の所在する階層の差異による床面積当たりの取引価格の変化の傾向を反映するための補正率(「階層別占有床面積補正率」)により補正する」としている。

その階層別占有床面積補正率は、居住用超高層建築物の1階を100とし、階が一を増すごとに、これに、10を39で除した数を加えた数値とする。具体的には、中間の階の固定資産税額は現在のルールと同じにして、1階上がるごとに約0.26%ずつ税額が増えるようにし、逆に中間階より1階下がるごとに約0.26%ずつ税額が下がるようにする。また、他の部屋より設備が充実している場合などは、別途その差異に応じた補正を行うという。

このようにして、上層階と低層階に負担差を設けるが、高層マンションンの区分所有者全員による申し出があった場合には、その申し出た割合により固定資産税額を按分することもできる。不動産取得税についても同様の見直しを行う。この改正は、2017年度以降販売される高層マンションから適用され(実施は2018年度から)、2017年4月1日前に売買契約が締結された既存のマンションには新たなルールは適用されない。