白色申告の7割超が税務調査で「記帳不備」との指摘

政府税制調査会では現在、2021年度税制改正に向けて納税環境の整備が議題の一つとなっているが、その中で白色申告者の7割超が、税務調査で「記帳不備」と指摘されていたことが、財務省提出資料で明らかになっている。記帳不備とは、(1)記帳すべき事項が相当欠落している又は相当期間(おおむね3ヵ月以上)停滞している、(2)記帳が全くされていない、(3)帳簿等の提示がなく記帳状況が不明な場合と定義している。

個人事業者の記帳の概況は、税調の納税環境整備に関する専門家会合での「事業者の適正申告の確保・記帳水準の向上」の議論の中で示されたもので、個人事業者に対する2018年7月~2019年6月までの調査分の、青色申告(正規の簿記、簡易簿記)、白色申告の記帳形式別の記帳不備割合は、正規の簿記は6.2%、簡易簿記は22.5%、白色申告は74.2%となっており、記帳水準が低いほど、記帳不備と指摘される割合が高かった。

そして、資産項目の異動に関する記帳不備を取り上げ、簡易簿記や白色申告では資産項目の異動が記帳されていないため申告漏れが生ずる可能性が高いのに対し、青色申告(正規の簿記)は、資産項目の異動が記帳されており、所得額を資産項目から検証することができる。例えば、商品の現金売上を記帳し忘れた場合でも、商品の減少や現金の増加などの資産項目の異動状況から、売上の記帳漏れを把握することが可能としている。

税務当局にとっても、資産項目の異動が記帳されていれば申告漏れなどを税務調査で把握することが比較的容易となるので、記帳水準の向上は税務調査の効率化にもつながると捉えている。議論を踏まえ専門家会合では、正規の簿記による青色申告に個人事業者を誘導するような制度改正、義務化が必要などの意見が出された。専門家会合での議論の整理は、11月13日に開かれた第4回政府税制調査会会合で報告されている。