地方税の徴収猶予の特例額は9月末までで2520億円に

「納税の猶予制度の特例」(特例猶予)について、国税庁が先日、4月から9月末までの5ヵ月間に猶予申請を許可した件数が20万3202件、猶予した税額が7833億4500万円にのぼることを発表したが、総務省がこのほど発表した地方税法の規定による新型コロナウイルス感染症に係る「徴収猶予の特例」の適用状況によると、同期間に地方団体が猶予申請を許可した件数は18万4744件、その税額は2520億700万円に達した。

納税猶予制度の特例は、新型コロナウイルス感染症の影響により2020年2月以降の収入に相当の減少があり、税金の納付が困難な事業者等に対し、無担保かつ延滞税なしで1年間納税を猶予するもの。2月以降の任意の期間(1ヵ月以上)において、事業等に係る収入が前年同期に比べて概ね20%以上減少していること、一時に納税を行うことが困難、のいずれも満たす納税者(個人法人の別、規模は問わず)が対象となる。

地方税の「徴収猶予の特例」を税目別でみると、最も多いのは企業が都道府県や市町村に納める法人住民税と法人事業税の「地方法人二税」の1190億5800万円で全体の47.2%と5割弱を占め、以下、「固定資産税及び都市計画税」が1026億2500万円、「個人住民税」が120億2300万円、その他は183億100万円となっている。地方消費税は、消費税を併せて国が徴収を行っているため、適用税額には含まれていない。

地方税の「徴収猶予の特例」は2021年1月31日までに納期限が到来する地方税、国税の「納税猶予の特例」は同年2月1日に納税期限を迎える国税が対象だが、政府・与党では、新型コロナウイルスの影響で売上が落ち込んだ事業者向けとして特例的に徴収・納税を猶予するこれらの措置の適用期限が迫っていることから、納付分からさらに1年程度延長する方向で検討に入っているという。