2016-12-28
2017年度改正では、中堅・中小企業の賃上げを支援する所得拡大促進税制が中小企業を中心に拡充される。所得拡大促進税制は、一定の要件を全て満たした場合に給与総額の増加分の10%を法人税額から控除できる制度だが、今回の改正で、新たに「前年度比2%以上の賃上げ」という要件を設定し、その際の控除率は現行より引き上げ、企業規模で控除率に差を設ける(中小企業者は増加分の22%、大企業で12%)。
現行制度の一定要件は、例えば2017年度であれば、 (1)給与等支給額の総額が2012年度比5%以上(中小企業者は3%以上)、(2)給与等支給額の総額が前事業年度以上、(3)一人当たりの平均給与等支給額が前事業年度を上回る、との3要件があり、これらを満たせば、増加給与額の10%を法人税額から税額控除(法人税額の10%(中小企業は20%)が上限)できる。給与等支給額は、役員給与は含まず、パート・アルバイトへの給与を含む。
今回の見直しでは、まず、中小企業者等以外の法人は、現行の要件の一つである「平均給与等支給額が前事業年度を上回ること」との要件を「平均給与等支給額が前事業年度から2%以上増加すること」に見直すとともに、控除税額を、給与等支給増加額の10%と給与等支給増加額のうち給与等支給増加額から前事業年度の給与等支給額を控除した金額に達するまでの金額の2%との合計額(現行は給与等支給増加額の10%)とする。
一方、中小企業者等については、平均給与等支給額が前事業年度から2%以上増加した場合の控除税額を、給与等支給増加額の10%と給与等支給増加額のうち給与等支給増加額から前事業年度の給与等支給額を控除した金額に達するまでの金額の12%との合計額(現行は給与等支給増加額の10%)とする。つまり、大企業は増加給与額の12%を、中小企業者は増加給与額の22%を、それぞれ法人税額から税額控除できるようになる。