2021年度税制改正は平年度609億円の減収の見込み

政府は先日21日、新型コロナウイルス感染症の影響で落ち込む経済への対応等を中心とした税制措置を盛り込んだ2021年度の税制改正大綱を閣議決定した。来年召集予定の通常国会に税制改正法案を提出し、今年度中の成立を目指す。閣議決定された税制改正大綱によると、2021年度税制改正による増減収見込額は、平年度で国税が560億円の減収、地方税が49億円の減収となり、合計609億円の減収を見込んでいる。

国税関係では、個人所得課税での「住宅ローン控除の特例の延長等」が▲90億円、法人課税での「繰越欠損金の控除上限の特例の創設」が▲390億円、「研究開発税制の見直し」が▲240億円、消費課税での「航空機燃料税の税率引下げ」が▲300億円など減収項目が並ぶ一方で、増収項目は、法人課税での「中小企業における所得拡大促進税制の見直し」(90億円の増収)などがあるが少なく、平年度では差し引き▲560億円の減収となる見込み。

地方税関係では、個人住民税での「住宅ローン控除の特例の延長等」が▲40億円、国税の改正に伴う「法人住民税」の▲37億円の減収などがある一方で、増収項目は、軽油引取税での「課税免除の特例措置の見直し」の4億円増や、固定資産税での「税負担軽減措置の見直し等」の2億円増、国税の改正に伴う「法人事業税」の22億円増、「個人住民税」の4億円増などがあるが、平年度では差し引き49億円の減収を見込む。

国税の「住宅ローン控除の特例の延長等」の平年度減収見込額は、面積要件の緩和によるもので、控除が行われる期間全体にわたる減収見込額の合計額を計上。なお、住宅ローン控除期間を3年間延長する特例は、2020年度税制改正時に平年度▲1000億円の減収と見込んでいた。地方税の固定資産税及び都市計画税の負担調整措置に係る2021年度の特別な措置に伴う2021年度の税収額は、前年度の税収額と比べ▲219億円の減と見込まれる。