固定資産税、課税額上昇の全土地の税額を据置き

2021年度は、3年に一度の固定資産税の評価替えの年に当たり、見直された土地の評価額は2023年度までの3年間据え置かれる。この評価替えは、前年1月1日の地価公示価格を基準としているが、下落修正措置として、7月1日までの半年間の地価の下落を評価額に反映させるとともに、据置年度についても、地価が下落していれば評価額に反映させる仕組みが講じられてきた。

固定資産税については、2021年度税制改正において、現行の負担調整措置等を3年間(2021年度~2023年度)延長し、新型コロナ感染症の影響を踏まえ、2021年度は、評価替えを行った結果、課税額が上昇する全ての土地について、2020年度税額に据え置く。具体的には、(1)据置年度において価格の下落修正を行う措置、商業地等に係る条例減額制度、税負担急増土地に係る条例減額制度を含め、現行の負担調整措置の仕組みを継続する。

その上で、(2)2021年度限りの措置として、宅地等(商業地等は負担水準が60%未満の土地に限り、商業地等以外の宅地等は負担水準が100%未満の土地に限る)及び農地(負担水準が100%未満の土地に限る)については、2021年度の課税標準額を2020年度の課税標準額と同額とする。また、2020年度において条例減額制度の適用を受けた土地について、所要の措置を講ずることとされる。

現行の負担調整措置は、負担水準(前年度課税標準額÷評価額)をもとに、原則として、(1)負担水準が70%を超える(地価が下落した)場合、評価額の70%を上限に課税標準額を引下げ、(2)負担水準が70%以下の場合(地価が上昇した)、課税標準額は前年度と同額に据え置く、(3)負担水準が60%未満の場合(地価が大きく上昇した)、評価額の60%を上限に、課税標準額は前年度のものに評価額の5%を加算した額を段階的に引き上げる。

今後の固定資産税制度については、据置特例が存在することで、据置ゾーン内における負担水準の不均衡が解消されないという課題があり、負担の公平性の観点からは更なる均衡化に向けた取組みが求められる。なお、固定資産税は、市町村財政を支える基幹税であり、全国で約9兆円と市町村税収の約4割を占める。今回の負担調整措置によって、2021年度の税収額は、前年度の税収額に比べて▲219億円の減と見込まれている。