セルフメディケーション税制を見直した上で5年延長

2021年度税制改正では、「医療費控除の特例(セルフメディケーション税制)」について、制度を見直した上で適用期限を5年延長する。セルフメディケーション税制は、2017年1月から2021年12月までの5年間の時限措置で、対象である特定一般用医薬品等購入費の合計が年間1万2千円を超えるときに超える部分(8万8千円が限度)が所得から控除される医療費控除の特例として、2017年分確定申告から適用が開始された。

特定一般用医薬品等購入費とは、医療用医薬品から、ドラッグストア等で購入できるOTC医薬品に転用された医薬品(スイッチOTC医薬品)のこと。セルフメディケーション税制は、自己又は自己と生計を一にする配偶者その他の親族のために1万2千円以上のスイッチOTC医薬品等の購入費を支払った場合に、通常の医療費控除との選択適用が認められるもの。

見直しでは、特例の対象となる医薬品の範囲について、(1)所要の経過措置(5年未満の必要範囲内)を講じた上、対象となるOTC医薬品から療養の給付に要する費用の適正化の効果が低いと認められるものを除外、(2)スイッチOTC医薬品と同種の効能又は効果を有する要指導医薬品又はスイッチOTC医薬品を除く一般用医薬品で、療養の給付に要する費用の適正化の効果が著しく高いと認められるもの(3薬効程度)を対象に加える。

また、現行では同制度の適用を受けようとする年分に健康保険法等の規定に基づき行われる健康診査等の健康の保持増進及び疾病の予防への取組みを行ったことを明らかにする書類(「取組関係書類」)の提出が適用要件とされているが、確定申告書の提出の際に添付すべき医薬品購入費の明細書にその取組みに関する事項を記載することで、確定申告書への添付又は確定申告書の提出の際の提示を不要とする。

ただし、確定申告期限等から5年間、税務署長はその取組関係書類の提示又は提出を求めることができ、その適用を受ける者は、その取組関係書類の提示又は提出をしなければならないこととする。適用は、2021年分以後の確定申告書を2022年1月1日以後に提出する場合とされている。