様々な中小企業の設備投資支援を強化する税制措置

2021年度税制改正においては、コロナ禍から立ち上がる中小企業の成長支援・地域経済の活性化の観点から、様々な中小企業の設備投資支援を強化する。まず、中小企業の生産性向上や、DXに資する設備投資を後押しすべく、中小企業経営強化税制を2年間延長(10%の税額控除等)するとともに、中小企業投資促進税制を商業・サービス業・農林水産業活性化税制と統合した上で2年間延長(7%の税額控除等)する。

中小企業経営強化税制については、本税制の利便性を向上させるため、例えば、工業会の証明書の取得と同時並行で、計画認定に係る審査を行うことにより、手続きを迅速化するなど、適用の前提となる計画認定手続きを柔軟化する。また、「中小企業投資促進税制」に「商業・サービス業・農林水産業活性化税制」も取り込む形で(不動産業、商店街振興組合等を移管)制度を一本化した上で、適用期限を2年間延長する。

中小企業経営強化税制は、中小企業の稼ぐ力を向上させる取組みを支援するため、中小企業等経営強化法の認定を受けた計画に基づく投資について、即時償却又は税額控除(10%)のいずれかの適用を認める措置。M&Aの効果を高める設備として「経営資源集約化設備(D類型)」を追加した上で、適用期限を2年間延長する。経営資源集約化設備(D類型)の要件は、修正ROA又は有形固定資産回転率が一定以上上昇する設備。

次に、地域未来投資促進税制(5%の税額控除等)を拡充・延長する。新型コロナウイルス感染症の影響からの地域経済の回復を図るためにも、引き続き地域経済を牽引する事業に対する支援が必要なため、適用期限を2年間延長する。より投資効果の高い事業創出を促すため課税特例の要件の客観化・明確化を図るとともに、地域の経済活動が停止するリスクを回避するため地域経済のサプライチェーン強靭化に資する事業を新たに支援する。

また、中小企業防災・減災投資促進税制(特別償却20%)を拡充・延長する。近年、全国各地で頻発する自然災害、長期化する新型コロナウイルス感染症の影響のなか、中小企業が自然災害等への事前の備えを行うことは重要となる。そこで、中小企業による自然災害等に対する事前対策の強化に向けた設備投資を後押しするため、感染症対策のために取得等するサーモグラフィなどを対象設備に追加した上で、適用期限を2年間延長する。