2021-02-12
政府は5日、産業競争力強化法等の一部改正法案を閣議決定し、国会に提出した。同法案は、「新たな日常」に向けた取組みを先取りし、長期視点に立った企業の変革を後押しするため、ポストコロナにおける成長の源泉となる「グリーン社会」への転換や「デジタル化」への対応、「新たな日常」に向けた事業再構築、中小企業の足腰強化等を促進するための措置を講じる。産業競争力強化法や中小企業等経営強化法など6つの改正法を束ねている。
2021年度税制改正では、産業競争力強化法の改正を前提に、(1)デジタル技術を活用した全社レベルのビジネスモデルの変革(デジタルトランスフォーメーション=DX)の計画を主務大臣が認定する、DX投資促進税制や、(2)2050カーボンニュートラル実現に向けた事業者の計画を主務大臣が認定する、脱炭素化効果が高い製品の生産設備・生産工程等の脱炭素化を進める設備に対する設備投資税制が創設される。
改正産業競争力強化法では、新商品開発や新生産方式・販売方式の導入により、新需要開拓や生産性向上に全社を挙げて取り組む企業が提出する「事業適応計画」を認定する仕組みを規定する。DX投資促進税制は、同計画により取得するクラウド技術を活用したデジタル関連投資(ソフト・ハード双方)を対象に、3%の税額控除(グループ外の事業者とデータ連携をする場合には5%)又は30%の特別償却を認める。
また、「グリーン社会」への転換に向けて、エネルギー利用環境負荷低減事業に関する事業適応計画の認定を受けた者が、脱炭素化効果の高い製品(燃料電池や電気自動車向けリチウムイオン蓄電池、洋上風力発電設備の主要専用部品など)の生産設備や生産工程等の脱炭素化を進める設備等を導入した場合に、最大10%の税額控除又は50%の特別控除を認める「カーボンニュートラル投資促進税制」が措置される。
一方、中小企業等経営強化法では、中小企業の事業・規模の拡大を促進するため、経営革新計画・経営力向上計画について、中小企業から中堅企業への成長途上にある企業群を支援施策の対象に追加。事業承継に先立ち実施するデューデリジェンス等を経営力向上計画の対象とし、中小企業経営資源集約化(M&A)税制(M&A後のリスクに備える準備金・設備投資・雇用確保の促進)を措置する。
適用は、改正産業競争力強化法の施行の日から、DX投資促進税制は2023年3月31日まで、カーボンニュートラル投資促進税制は2024年3月31日まで。
産業競争力強化法等の一部改正法案の概要は↓
https://www.meti.go.jp/press/2020/02/20210205001/20210205001-1.pdf