2021-02-24
バーやクラブの経営者からホステスへの支払いは、ホステスの業務が実質、経営者からは独立した業務にあたれば報酬とし、経営者に従属した業務にあたれば給与とする傾向があるようだ。ホステス等に報酬・料金を支払うときは、所得税及び復興特別所得税を源泉徴収しなければならない。ただし、その内容が給与等又は退職手当等に該当するものについては、それぞれ給与所得又は退職所得として源泉徴収を行う。
ホステス等に支払う報酬・料金として、所得税及び復興特別所得税を源泉徴収しなければならない場合とは、(1)バーやキャバレーの経営者が、そこで働くホステスなどに報酬・料金を支払う場合、(2)いわゆるバンケットホステス・コンパニオン等をホテル、旅館その他飲食をする場所に派遣して接待等の役務の提供を行わせることを内容とする事業を営む者が、そのバンケットホステス、コンパニオン等に報酬・料金を支払う場合となる。
源泉徴収の対象となる報酬・料金に含まれるものには、報奨金や衣装代、深夜帰宅するためのタクシー代などがあり、見逃しがちなので注意が必要だ。また、源泉徴収すべき所得税及び復興特別所得税の額は、報酬・料金の額から同一人に対し1回に支払われる金額について、5千円(みなし経費)にその報酬・料金の「計算期間の日数」を乗じて計算した金額を差し引いた残額に10.21%(支払金額100万円超は20.42%)の税率を乗じて算出する。
この「計算期間の日数」とは、「営業日数」又は「出勤日数」ではなく、ホステス報酬の支払金額の計算の基礎となった期間の初日から末日までの全日数だ。例えば、ホステス報酬の支払金額の計算の基礎期間3月1日から3月31日(31日間)、営業日数25日間で、3月分の報酬75万円を支払う場合は、「(75万円-15万5千円(5千円×31日))×10.21%」で計算した6万749円が、源泉徴収すべき所得税及び復興特別所得税の額となる。
なお、ホステス等に支払った報酬・料金から源泉徴収した所得税及び復興特別所得税は、支払った月の翌月10日までに納めなければならない。また、支払者が源泉所得税の納期の特例の適用を受けている場合であっても、ホステス等に支払う報酬・料金については、納期の特例の対象とはならない。期限までに納付をしなかった場合には、延滞税等を負担する可能性があるので注意が必要となる。