70年ぶりの大幅改正となる国税犯則調査手続

国税犯則取締法いわゆる国犯法は、脱税など国税に関する反則が疑われた場合に、国税職員が調査する権限等を定めたものだが、2017年度税制改正では、同法が定める国税犯則調査手続等が経済活動のITC化・多様化等の進展に伴い、犯則事件を取り巻く環境も急速に変化してきていることを踏まえ、大幅に見直される。国犯法の改正は、導入された1948年以来ほぼ70年ぶりの改正となる。

今回の改正は、経済のITC化については、2011年の改正で刑事訴訟法に措置された電磁的記録の証拠収集手続にならい、証拠収集手続の整備を図る、また、経済活動の多様化に対しては、関税法に定める犯則調査手続にならい、調査手続の整備を図るほか、国税犯則調査手続に係る規定について、平仮名・口語体表記に改めるなどの現代語化を行うとともに、国税通則法に編入、つまり国税犯則取締法は廃止される。

2011年改正の刑事訴訟法にならって整備されることになる電磁的記録に係る証拠収集手続の整備は、(1)電磁的記録に係る記録媒体の差押えの執行方法の整備、(2)接続サーバー保管の自己作成データ等の差押えの整備、(3)記録命令付差押えの整備、(4)差押え等を受ける者への協力要請の整備、(5)通信履歴の電磁的記録の保全要請の整備、の5つの見直しが中心となる。

(1)の電磁的記録に係る記録媒体の差押えの執行については、差し押さえるべき物件が記録媒体であるときは、その差押えに代えて、その記録媒体に記録された電磁的記録を他の記録媒体に複写、印刷又は移転の上、その他の記録媒体を差し押えることができるようにする。(3)の記録命令付差押えについては、電磁記録の保管者等に命じて、必要な電磁的記録を記録媒体に記録又は印刷させた上、その記録媒体を差し押えることができるようにする。

また、(2)の接続サーバー保管の自己作成データ等の差押えについては、差し押さえるべき物件が電子計算機であるときは、その電子計算機に電気通信回線で接続している記録媒体であって、その電子計算機で作成等をした電磁的記録等を保管するために使用されていると認めるに足る状況にあるものから、その電磁的記録を電子計算機等に複写した上、その電子計算機等を差し押えることができるように整備する。

さらに、(5)の通信履歴の電磁的記録の保全要請では、差押え又は記録命令付差押えをする必要があるときは、通信事業者等に対し、通信履歴の電磁的記録について、30日(特に必要があって延長する場合には、通じて60日)を超えない期間を定めて、消去しないように求めること(この場合において、必要があるときは、みだりにこれらに関する事項を漏らさないよう求めること)ができるようにする。