確定申告の約6割を占める還付申告にチャレンジを!

2020年分の所得税等の確定申告は中盤を迎えた。大多数の人には無関係と思われようが、確定申告書を提出する義務のない人でも、給与等から源泉徴収された所得税額や予定納税をした所得税額が年間の所得金額について計算した所得税額よりも多いときは、確定申告をすることで、納め過ぎの所得税の還付を受けることができる還付申告がある。昨年の確定申告では総申告人員2204万人のうち還付申告者が1302万5千人と約6割を占めた。

そこで、改めて還付申告へのチャレンジをお勧めしたい。もっとも、還付申告書は、確定申告期間とは関係なく、その年の翌年1月1日から5年間提出ができる。還付申告書は、国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」を利用すれば、画面の案内に従って金額等を入力することにより、税額などが自動計算され、簡単に作成できる。作成したデータは、電子申告(e-Tax)を利用するか又は印刷して税務署に郵送等で提出する。

給与所得者が、原則として還付申告ができる場合とは、(1)年の途中で退職し、年末調整を受けずに源泉徴収税額が納め過ぎとなっているとき、(2)一定の要件のマイホームの取得などをして、住宅ローンがあるとき、(3)マイホームに特定の改修工事をしたとき、(4)認定住宅の新築等をした場合(認定住宅新築等特別税額控除)、(5)災害や盗難などで資産に損害を受けたとき、(6)特定支出控除の適用を受けるとき、などが該当する。

さらに、(7)多額の医療費を支出したとき、(8)特定の寄附をしたとき、(9)上場株式等に係る譲渡損失の金額を、申告分離課税を選択した上場株式等に係る配当所得等の金額から控除したとき、などが挙げられる。例えば、(1)のケースでは、中途退職したまま再就職しない場合は年末調整を受けられないので、所得税は納め過ぎのままとなるが、この納め過ぎの所得税は、翌年になってから確定申告をすれば還付を受けられる。

一方で、確定申告によって所得税の還付を受けることができない、 還付申告の対象とならない所得がある。それは、(1)源泉分離課税とされる預貯金の利子、(2)源泉分離課税とされる抵当証券などの金融類似商品の収益、(3)源泉分離課税とされる一定の割引債の償還差益、(4)源泉分離課税とされる一時払養老保険の差益(保険期間等が5年以下のもの及び保険期間等が5年超で5年以内に解約されたもの)などだ。