申告義務がある者の還付申告書の提出期間を見直し

2020年分の所得税の確定申告では新型コロナ感染拡大防止のため、確定申告会場への来場者を分散させるなどの措置が取られている。同様の観点から、2021年度税制改正では、一部の者に課されていた所得税の還付申告の義務をなくし、その申告書の提出期間は現行の所得税の申告義務がないものの還付申告書の提出期間と同様とするよう見直される。この改正は、2023年1月1日以後に確定申告書の提出期限が到来する所得税から適用する。

確定所得申告を定めた現行の所得税法120条は、雑損控除等の控除後のその年分の総所得金額に係る税額が配当控除の額を超えるときは、第三期(その年の翌年2月16日から3月15日までの期間)に、一定の事項を記載した申告書を提出しなければならないと定められている。このように計算された所得税の額の合計額が配当控除の額を超える場合であっても、一定のケースでは確定申告書の提出を不要とするように見直される。

具体的には、その計算した所得税の額の合計額が配当控除の額を超える場合であっても、控除しきれなかった外国税額控除の額があるとき、控除しきれなかった源泉徴収税額があるとき又は控除しきれなかった予納税額があるときは、確定申告書の提出を要しないこととする。この場合における確定申告書の提出期間については、現行の申告義務のない者の還付申告書の提出期間(その年の翌年1月1日から5年間)と同様となる。

これに伴い、還付等を受けるための申告は、(1) 所得税の額の計算上控除しきれなかった外国税額控除の額がある場合は、その控除しきれなかった金額、(2)金額の計算上控除しきれなかった源泉徴収税額がある場合は、その控除しきれなかった金額、(3)金額の計算上控除しきれなかった予納税額がある場合は、その控除しきれなかった金額、を記載した申告書を提出することができるように改められる。

また、更正等による源泉徴収税額等の還付も見直され、還付加算金を計算する場合の基礎となる期間については、更正等の日の翌日以後1ヵ月を経過するまでの期間に改められるが、その更正等が更正の請求に基づく更生の場合は、その請求の日の翌日以後3月を経過する日とその請求に基づく更生の日の翌日以後1月を経過する日とのいずれか早い日、また、決定に係る更正の場合はその決定の日となるように改められる。