役員等の勤続年数5年以下の者に対する退職手当等

退職所得の金額は、その年中に支払を受ける退職手当等の収入金額から、その者の勤続年数に応じて計算した退職所得控除額を控除した残額の2分の1に相当する金額とされているが、2012年度税制改正により、役員等としての勤続年数が5年以下の者(「特定役員等」)が、その役員等勤続年数に対応する退職手当等として支払を受けるものについては、この残額の2分の1とする措置はなくなっている。

特定役員等とは、役員等勤続年数が5年以下である者をいうが、この「役員等」とは、 (1)法人の取締役、執行役、会計参与、監査役、理事、監事、清算人や法人の経営に従事している者で一定の者、(2)国会議員や地方公共団体の議会の議員、(3)国家公務員や地方公務員をいう。また、役員等勤続年数とは、役員等に支払われる退職手当等の勤続期間のうち、役員等として勤務した期間の年数をいう。

役員等勤続年数の算定は、1年未満の端数がある場合には、その端数を1年に切り上げる。例えば、役員等として勤務した期間が4年11月の場合は、役員等勤続年数が5年となることから、特定役員等に該当することになる。また、役員等として勤務した期間が5年1月の場合は役員等勤続年数が6年に該当することから、特定役員等には該当せず、受け取る退職金は2分の1課税の適用があることになる。

その退職所得の金額の計算方法は、原則、(1)その年中に支払われる退職手当等が、特定役員退職手当等のみの場合は「特定役員退職手当等の収入金額-退職所得控除額」、(2)その年中に支払われる退職手当等が、特定役員退職手当等と特定役員退職手当等以外の退職手当等の場合は、「特定役員退職手当等の収入金額-特定役員退職所得控除額」と「{退職手当等の収入金額-(退職所得控除額-特定役員退職所得控除額)}×1/2」の合計額となる。

上記の「特定役員退職所得控除額」は、(1)重複期間がない場合は「40万円×特定役員等勤続年数」、(2)重複期間がある場合は「40万円×(特定役員等勤続年数-重複勤続年数)+20万円×重複勤続年数」、の算式により求める。このように、特定役員等の勤続期間と特定役員等でない勤続期間の両方があり、その2つの期間が重複している場合には、その重複する勤続年数部分について調整計算を行う必要がある。