注目される機械装置対象の固定資産税の特例の拡充

2017年度税制改正において注目されている改正の一つが、中小企業が新品の機械装置を取得した場合に、固定資産税の課税標準を3年間2分の1にする特例の拡充だ。特例の拡充は、製造業だけでなく、労働生産性が低いサービス産業の生産性向上を促進するため、現在対象となっている機械装置に加え、高効率の冷蔵陳列棚、省エネ空調などの器具備品・建物附属設備を対象設備に追加する。税制改正大綱に盛り込まれている。

この特例は、中小企業等経営強化法の経営力向上計画の認定を受けた中小事業者が、2016年7月1日から2019年3月31日までの間に取得した一定要件を満たす新品の機械装置が対象で、2016年度税制改正で創設されたもの。一定要件とは、(1)販売開始から10年以内のもの、(2)旧モデル比で生産性(単位時間当たりの生産量、精度、エネルギー効率等)が年平均1%以上向上するもの、(3)1台160万円以上の機械及び装置であることだ。

今回の拡充では、機械装置だけだった対象設備に、測定工具・検査工具、器具備品、建物附属設備のうち一定のものを追加する。ただし、固定資産税が減収となる市町村財政への影響を考慮し、追加設備が適用対象となる地域・業種を、(1)最低賃金が全国平均未満の地域は全ての業種、(2)最低賃金が全国平均以上の地域は労働生産性が全国平均未満の業種に限定する。

2016年度地域別最低賃金によると、東京、神奈川、千葉、埼玉、愛知、大阪、京都の7都府県が、最低賃金が全国平均(823円)以上の地域となる。また、2012年経済センサスによると、一部の小売業(織物・衣服、飲食料品など)、民泊業、飲食店、理美容、自動車整備業、医療業、社会保険・福祉・介護業(医療業、社会保険・福祉・介護業については東京を除く)などのサービス業が、労働生産性が全国平均未満とされている。