相続税に対する負担感、過半数が重いと感じている

フィデリティ退職・投資教育研究所が、過去5年以内に生前贈与を含まない遺産相続を受けたことがある全国の20歳以上の男女を対象に昨年11月30日から12月7日にかけて実施した「2016年相続人5000人アンケート調査」結果(有効回答数5578人)によると、51.2%と過半数が相続税の重税感を感じているが、生前贈与に関する優遇制度利用者は全体では16.3%にとどまることが分かった。

ただ、20代、30代の相続人に限定すると、何らかの生前贈与の優遇策を利用している比率がそれぞれ36.0%、32.0%と高く、「教育資金贈与」(全体7.2%、20代20.1%、30代14.6%)、「住宅取得資金贈与」(全体8.7%、20代16.5%、30代15.4%)、「結婚子育て資金贈与」(全体3.1%、20代12.2%、30代9.9%)などの税制優遇制度を活用している人が多い。生前贈与が若年層への資産移転に寄与している可能性が高い。

生前贈与の利用と相続状況をみると、都市銀行では「教育資金贈与」(15.4%)と「住宅取得資金贈与の特例」(16.2%)が、大手証券では「住宅取得資金贈与の特例」(16.5%)が相対的に多く活用されている。また、相続金額が多くなるほど生前贈与の利用頻度が高まり、特に2000万円を超えると「教育資金贈与」(3000万円以上では17.0%)と「住宅取得資金贈与の特例」(同20.5%)が多く活用されるようになることも分かった。

5割を超える相続人が重税感を感じているが、相続税の重税感は、「2012~14年相続」で51.5%、「2015~16年相続」で50.6%と、2015年の相続税増税の影響は意外に大きな変化がない。相続資産内容別に「相続税」の負担は重いと回答した人の比率をみると、「現金・預貯金」が51.9%、「金融商品」が57.2%、「不動産」が55.1%と、と相対的に金融商品(株式、債券、投資信託)を相続した人が、負担が重いと感じていることが分かる。

なお、平均相続額は3548万円(中央値1087万円)で、年間死亡者数130万人(厚労省、2015年)で推計すると相続市場規模は46兆円となる。相続資産総額でみた構成比は、「現金・預貯金(死亡保険金を含む)」が51.1%、「自宅用不動産や別荘、農地などの不動産」が29.8%、「有価証券(株式、債券、投信)等の金融資産(保険は除く)」が14.8%と、個人金融資産同様に過半数が現金・預貯金となっている。

同調査結果の詳細は↓
http://www.fidelity.co.jp/fij/invest_navi/pdf/20170123.pdf